西日本シティ銀行、TSRのコンプライアンスツール導入
近年、金融犯罪がますます巧妙化している中、西日本シティ銀行は株式会社東京商工リサーチ(以下TSR)の「コンプライアンス・ステーション®UBO」を導入しました。この新しいシステムは、マネーロンダリングやテロ資金供与に対する対策を強化するために設計されたもので、法人データベースを活用し、迅速な情報提供を実現します。
導入の背景
マネーロンダリングやテロ資金供与は国際的に深刻な問題となっており、1989年から始まったFATF(金融活動作業部会)による規制強化もその一環です。特に、2024年4月に発表された財務省の行動計画では、国内におけるマネーロンダリング対策の実効性向上が求められています。さらに、近年のリバトン事案では、実体のない法人口座の不正使用により巨額の犯罪収益がマネーロンダリングに利用されました。これにより、金融機関に対する要求が高まっています。
日本の金融庁は、2024年8月に金融機関に対して、法人口座を含む口座開設時の本人確認手続きの強化や、高リスク取引のモニタリングを強化するよう求めました。この流れを受け、地域銀行や信用金庫でも限られたリソースを活用したコンプライアンス管理が求められています。
新しいシステムの導入により得られる利点
「コンプライアンス・ステーション®UBO」の導入によって、西日本シティ銀行では法人の実態確認や顧客情報の収集が効率化されます。これまでの手作業による情報整理は時間とコストを要していましたが、この新システムにより、最新の社名や住所、代表者情報を迅速に収集できるようになります。さらに、UBO(実質的支配者)や株主情報も容易に確認可能です。
特にTSRが提供するこのデータベースは、国内最大級の企業情報をもとに構築されています。オンラインで受け取ったデータは、独自のアルゴリズムによりスピーディに処理され、法人番号があれば、わずか3分で30万件のデータ処理が可能です。これにより、金融機関はコンプライアンスの維持にかかるコストを大幅に削減できます。
今後に向けた展望
今後、TSRは西日本シティ銀行との連携を強化し、2028年のFATF第5次対日相互審査に向けたより実効性のあるAML(アンチマネーロンダリング)およびCFT(テロ資金供与対策)の運用構築に協力していく予定です。また、法人向け顧客管理のさらなる向上にも注力し、今後も西日本シティ銀行と共に取り組んでいく姿勢を示しています。
株式会社東京商工リサーチ(TSR)について
TSRは、日本最古の信用調査会社として知られ、国内最大級となる1,017万件以上の企業データベースを保有しています。また、世界的な企業情報プロバイダーであるD&Bとの提携により、全世界の企業情報も提供しています。これにより、企業の信用調査を通じて日本の経済活動に多大な貢献を果たしています。
西日本シティ銀行の今後の動向に期待が高まります。