世界初の水素燃料エンジンの開発
2023年9月7日、神戸にあるジャパンエンジンコーポレーションが、世界初の大型商船向け水素燃料エンジン「6UEC35LSGH」の陸上運転試験に成功したことを発表しました。このプロジェクトは、NEDOの「グリーンイノベーション基金事業」に基づき、ジャパンエンジンをはじめとした川崎重工業、およびヤンマーパワーソリューションの3社によって推進されています。
本エンジンは、高圧直噴方式を採用しており、水素の安定した燃焼を実現しました。この技術により、工場運転において水素混焼率が95%以上となり、従来の重油燃料エンジンに比べてGHG(温室効果ガス)の排出量を95%以上も削減することに成功しました。これにより、2050年に向けて国際海運のカーボンニュートラルの実現へ大きな一歩を踏み出したと言えます。
背景と経緯
国際海運業界は、2050年までにカーボンニュートラルを達成するために、新しい燃料エンジンの開発と社会的実装が求められています。この背景には、持続可能なエネルギーの提供と環境保護が強く結びついています。ジャパンエンジンは、既に2025年にアンモニア燃料を利用した大規模な舶用低速2ストロークエンジンの開発を行い、水素燃料エンジンの開発を通じてさらに多様な海運システムを提供しようとしています。
エンジンの特性と安全性
「6UEC35LSGH」は、特に安全性の観点からも優れた設計がなされています。高圧の水素を直接シリンダ内に噴射する方式に加えて、水素漏れを防ぐ堅固な構造が採用されており、関連するシステムの安全性を高めるために二重管の配管技術も導入されています。これらの施策により、日本海事協会(ClassNK)の立会いの下で運転試験が行われ、問題なく完了しました。
今後の展望
今後、「6UEC35LSGH」は「Blue Harmony」プロジェクトの一環として、2027年に多目的船(1万7500重量トン型)に搭載される予定です。これらの船は、商船三井と商船三井ドライバルクが尾道造船で建造し、その後、川崎重工によって開発されたMHFS(Marine Hydrogen Fuel System)から水素供給を受けます。2028年4月からは実船実証試験を開始し、実運航条件下での耐久性についてもさらに検証を進めていく計画です。
これらの革新は、日本国内だけでなく、世界の海運業界においても持続可能な未来を形成する可能性を秘めています。水素燃料エンジンの進化は、カーボンニュートラル社会を実現するためのまさに鍵を握る技術であると言えます。ジャパンエンジンとそのパートナー企業は、この技術を活かし、未来の海運業界でのリーダーとなることを目指しています。