株式会社TOWINGのカーボンクレジット特許取得
株式会社TOWING(代表取締役CEO:西田宏平)は、カーボンクレジットの予約販売に関する新たなビジネスモデル特許を国内で取得し、今後は海外市場への進出に向けた取り組みを開始したことを発表しました。この動きは、経済産業省が策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」に基づいて進められています。TOWINGは、農林水産省が制定した「みどりの食料システム法」にも対応しており、持続可能な農業の実現に向けた手段として高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」の開発と販売を行っています。
カーボンクレジットの重要性
カーボンクレジットは、温室効果ガスの排出削減を促進するための取引可能な権利です。これにより企業は自社の排出量をオフセットしたり、環境負荷の低減を図ることができます。また、グローバルレベルでもカーボンニュートラルに向けた取り組みが進んでおり、これに伴ってカーボンクレジットの創出と取引が重要な役割を果たしています。TOWINGは、この需要に応える形で、カーボンクレジットの予約販売や創出に関する特許を取得したのです。
特許の主なポイント
TOWINGが取得した特許(特許第7138390号)は、カーボンクレジットの需給調整に関連するものです。これにより、販売者が購入者からの予約を受け付け、複数のカーボンクレジット創出プロジェクトを調整することが可能となります。特に、農業分野ではバイオ炭から得られるクレジットのプロジェクトを通じて、導入可能なバイオ炭の使用量を確認し、必要なクレジット量を創出するための活動をサポートします。
また、この特許は、バイオ炭や水田の中干に限らず、ブルーカーボンや森林クレジット、再生可能エネルギーに関連するクレジットなど、多岐にわたるカーボンクレジットに適用されるため、幅広い分野での活用が見込まれています。さらに、農作物の契約栽培などにおいても、作物の栽培行為に結びつけたカーボンクレジットを調達できる可能性があります。
今後の展開計画
同社は、北中南米、東南アジア、EU地域での宙炭事業の展開を視野に入れています。また、カーボンクレジットの組成や販売もこれらの地域で展開予定です。国内特許の登録をスタート地点とし、国際市場に向けた特許の登録活動も進める計画です。
加えて、TOWINGは、カーボンクレジットの創出や販売を考える企業との協業を希望しており、業務提携やライセンス提供も視野に入れています。
TOWINGの企業理念と取り組み
株式会社TOWINGは「サステナブルな次世代農業を起点とする超循環社会を実現する」というミッションを掲げる、名古屋大学発のスタートアップ企業です。2020年に設立され、農研機構などの技術と独自の技術を活用して高機能バイオ炭「宙炭」を開発しました。このバイオ炭は地域の未利用資源を炭化し、多様な機能を持つ微生物を培養することで、農地に施用された際に作物の品質や収穫量を向上させる効果があります。
2023年には、Jクレジット制度における「バイオ炭の農地施用」の方法論でプログラム登録を完了し、既にカーボンクレジットの発行・販売も実施しています。今後もTOWINGの取り組みには注目が集まることでしょう。