ポリエステルのアップサイクルを目指して
昨今、ファッション業界ではサステナビリティへの関心が高まりつつあります。特に、洋服やテキスタイルの大量廃棄問題が社会的な課題とされ、多くの企業がその解決策を模索しています。この流れの中で、エレファンテックと共同開発した技術『ネオクロマト加工』が注目を集めています。この技術は、ポリエステル繊維を使用し、環境への影響を最小限に抑えながら新たなデザインを可能にするものです。
ネオクロマト加工とは
『ネオクロマト加工』は分散染料で染色されたポリエステル繊維の脱色を、高い安全性を有する薬剤とヒートプレスマシンを用いることで実現。本技術の特筆すべき点は、水を一切使用せず、染料だけを数分でほぼ完全に除去できることです。これにより、脱色後は好きな色合いやデザインに再度染色・プリントを行うことが可能となります。
例えば、季節の変化に合わせてTシャツのデザインを変えたり、不要になったスポーツユニフォームをリデザインしたりすることができるのです。また、脱色したポリエステルをマテリアルリサイクルの原材料として再利用することが期待されています。これにより、ファッション業界におけるロスを削減し、さらにサーキュラーエコノミーの実現に寄与します。
技術の背景と開発者の想い
エレファンテックの杉本副社長やアーティストの鷺森アグリさんとの協力で進められた『ネオクロマト加工』は、初めは2021年に開催された東京オリンピックに関連して発案されました。当初の目的は、大量廃棄される可能性のある衣服をどうにかしてアップサイクルする技術の確立でした。その後、多くの関係者が集まり、試行錯誤を重ねた結果、技術が完成しました。
この技術は一見すると魔法のようなもので、デザインを何度でも消し新しいデザインを印刷できるのです。これにより、環境への負担を軽減しつつ、ファッションを楽しむという新たなスタイルが生まれることを目指しています。
これからの展望
今後は、アパレルブランドとの連携を深め、この技術がどのように活用できるかを探求していく予定です。サステナビリティを意識したファッションには、多くの人々が関心を持っています。この流れを受け、『ネオクロマト加工』を活用し、より多くのリデザインの機会を提供することで、環境に優しいスタイルの確立を目指していくでしょう。
また、企業側もこれに賛同し、社会全体がこの流れに参加することが重要です。具体的な施策や実験を通じて、ファッション業界の変革を促進し、世界中でその理念が広がることを期待しています。
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