大府市で開催された特別授業「僕らは戦争を知らない」
2025年8月3日、愛知県大府市に位置する「おおぶ文化交流の杜こもれびホール」で、特別授業「僕らは戦争を知らない」が行われました。このイベントは、株式会社Gakkenが協力し、大府市が主催した「おおぶ平和のつどい」の一環として実施されました。335名の参加者が集い、中でも中学生以下が75名を占めていました。
書籍『僕らは戦争を知らない』の重要性
この授業の題材となった書籍『僕らは戦争を知らない世界中の不条理をなくすためにキミができることハンディ版』は、2025年7月10日に発売予定で、早くも重版される話題作です。この本は、ウクライナから避難してきたマリヤ・ボイコさんの体験に基づいた內容となっています。
小泉悠准教授による授業
授業は、東京大学先端科学技術研究センターの准教授であり、この書籍の監修を担当した小泉悠氏による講義からスタートしました。小泉氏は、ロシアがウクライナに侵攻した理由を解説し、参加者に分かりやすく説明しました。著書の内容を通じて、現代の戦争にまつわる複雑な背景を知る貴重な機会となりました。
パネルディスカッションでの議論
その後、小泉氏と大府市の高校生平和大使5名によるパネルディスカッションが行われ、彼らは今年7月に知覧特攻平和会館を訪れた際の学びを基に、さまざまなテーマについて意見を交わしました。議論されたテーマは以下の3つです。
1. 人はなぜ戦争をやめられないのか
2. なぜ話し合いで解決できないのか
3. 日本の戦争の記憶を風化させないために何ができるのか
中でも「人はなぜ戦争をやめられないのか」というテーマでは、高校生が、「個人間の問題解決が難しいのに、国家同士での問題は更に困難だ」と意見を述べ、小泉氏は「歴史の中で戦争は減少傾向にあり、戦争を選ばない選択肢があることを考え直すべきだ」と指摘しました。
学びの重要性
次のテーマでは、なぜ話し合いで解決できないのかを探求しました。高校生の一人は、「戦争をしている国が持つ譲れない価値観があるため、話し合いで解決は難しい」と語りました。また、小泉氏は、暴力以外にも解決方法があることを学ぶ必要があると述べました。
最後のテーマ、戦争の記憶をどう風化させないかについては、特攻隊員の体験やその思いを次世代に伝えていく大切さが強調されました。高校生たちは、実際に知覧での経験を通じて得た感想を交わしつつ、どういった取り組みをしていくかを考えました。
地域社会へのメッセージ
プログラム後、小泉氏は大府市市長・岡村秀人氏と面会し、今回の取り組みが若い世代に貴重な教育の場を提供することに感謝の意を示しました。小泉氏は、「戦争は歴史の中で人類が避けてきた課題であり、戦争について考える場を持つ必要がある」と強調しました。
このように、大府市での特別授業は、参加者たちが戦争について考え、未来に向けた平和の意識を育むための大切な一歩となりました。