坂本城跡が国史跡に指定される見込み
令和7年6月20日、滋賀県大津市の坂本城跡が国の文化審議会から国史跡に指定されるとの答申が行われました。この決定を受け、坂本城跡は、官報での告示などの必要な手続きを経て正式に指定される見通しです。
坂本城の歴史と発掘調査
坂本城は明智光秀が築いた城であり、その歴史はわずか15年と短命でした。このため、坂本城は「幻の城」とも呼ばれ、その痕跡を残さないことから、多くの人がその存在を疑問視しています。昭和54年度に行われた発掘調査では、礎石を用いた建物の遺構や大量の瓦が見つかり、坂本城の本丸内にあたる可能性が高い屋敷跡が確認されました。現在では、当時の建物の遺構が地下に保存されています。
さらに、令和5年度には、宅地造成に伴う発掘調査が行われました。この調査では、長さ30メートルを超える石垣を持つ堀や瑳斎石と考えられる建物の遺構が見つかり、坂本城の外郭(三ノ丸)の一部とされる重要な証拠が発見されました。この説明会には全国から2000名以上が参加し、その魅力を確認しました。
当地では、坂本城の地下遺構を元に、国史跡指定を目指すための覚書が開発事業者と交わされました。昭和54年度調査地や令和5年度調査地が国史跡にふさわしいエリアと考えられ、滋賀県を通じて文部科学大臣に意見が提出されました。
文化審議会の評価
文化審議会からの答申では、坂本城跡の以下のような評価がされています:
1. 織豊系城郭としての立地や構造、築城技術についての理解を深める重要な資料であること。
2. 琵琶湖を経由した京都への物流の拠点としての政治・軍事・経済的意義を持つこと。
これにより、大津市に所在する国指定史跡は、16件に及ぶことが見込まれています。新たに坂本城跡が加わることで、地域の歴史的意義も一層強調されます。
市長のコメント
坂本城跡の指定答申に対し、大津市の市長は喜びのコメントを発表しました。「長らく幻の城と称されていた坂本城について、近年の調査で確認された重要な発見が今回の答申につながりました。これからも坂本城や他の文化財を守り、地域の魅力を発信していく所存です」と述べています。
大津市歴史博物館での展示
坂本城跡の国史跡指定を記念して、大津市歴史博物館では特別展示が行われます。展示は令和7年6月21日から8月31日までの期間中、入場無料で行われ、坂本城跡とその出土遺物についてのパネルが展示されます。この機会に、多くの人々が坂本城の歴史を深く知ることができるでしょう。
このように、坂本城跡が国指定の史跡に認定されることは、地域の歴史や文化を次世代に伝える重要なステップです。大津市としても、より一層の文化財の保存と活用に努めていく方針です。