製薬業界におけるオムニチャネルの進化と処方への影響
近年の製薬業界では、オムニチャネルと呼ばれる多様な情報提供手法が進化を遂げています。株式会社エモーションテックとメドピア株式会社による「製薬業界NPS®調査レポート2024」が、その傾向を明らかにしました。本レポートでは、医師への情報提供がどのように処方行動に影響を与えているのかを徹底的に分析しました。
調査の概要と背景
本調査は、医師集合知プラットフォーム「MedPeer」の会員で、実際に処方を行っている医師3,626人を対象に実施されました。調査方法はWebアンケートで、実施期間は2024年10月2日から10月4日の3日間です。この調査は、顧客ロイヤルティを示すNPS(ネット・プロモーター・スコア)を活用し、2020年から5年間連続で行われています。
新型コロナウイルスの影響で、リアルな対面からデジタルコミュニケーションの重要性が高まりました。本調査では、特にこの1年間に処方への影響が大きくなった情報チャネルに焦点を当てています。医療の現場でもデジタル化が進む一方で、対面コミュニケーションへの期待も高まっています。これにより、製薬業界はオムニチャネルの時代に突入しています。
調査結果の要点
調査結果からは、以下のような重要なポイントが浮かび上がりました。
- - 薬剤NPSの動向:製薬企業の薬剤NPSは前年に比べほぼ横ばいで、2020年以降9.0%の推奨者増が見られました。
- - チャネルの影響:薬剤NPSに影響を及ぼすチャネルとして、医療情報メディア、担当MR、オンライン講演会が挙げられ、特に担当MRとオウンドメディアの影響度が上昇しています。
- - 疾患領域ごとのトレンド:循環器、呼吸器、神経系疾患の新薬が上位にランクインし、期待が高まっていることが示されています。
これらは、デジタルチャネルが医師の情報収集において重要な位置を占めていることを示唆しています。
医師と製薬企業のコミュニケーション
医師にとって、最近ではデジタルチャネルからの情報収集がスタンダードとなってきています。特に新型コロナ後のリアル回帰においても、医師はオンラインでの情報提供を求めています。このため、製薬企業はデジタルチャネルを通じて医師へのアプローチを強化しなければなりません。
調査の結果、医師からはMR(医薬情報担当者)への期待が高まり、最新の情報提供やエリアに関する情報が求められています。また、オウンドメディアに対しても、使い勝手や情報の探しやすさが求められるようになっています。
未来への展望
今後、さらに多様な情報チャネルが製薬業界における情報提供に影響を与えることが予想されます。エモーションテックとメドピアは、引き続きNPSの活用方法を探求し、製薬企業に対して調査やコンサルティングなどを提供していく方針です。
現場の医師が求める情報を的確に届けるためにも、製薬企業はオムニチャネル戦略の見直しや強化が必要不可欠と言えるでしょう。これにより、医師と製薬企業の信頼関係が構築され、結果的に患者への最適な治療法の提案に繋がることが期待されます。
- - 詳細な調査結果は、ホワイトペーパー「製薬業界NPS®調査レポート2024」で確認できます。