日本企業の商標状況に関する新調査
リスクモンスター株式会社の連結子会社である利墨(上海)商務信息咨詢有限公司、通称リスクモンスターチャイナが、「第2回中国日系企業の商標保有数ランキング」を発表しました。この調査は、2025年4月時点での法人登記情報や8月時点の商標情報に基づいて行われており、中国における日本企業の商標持ち数に関する詳細な洞察を提供しています。
調査の背景と方法
調査は、日系企業が出資している中国企業およびその関連企業を対象に実施されました。対象となった企業総数は27,148社です。商標保有数について、2023年3月から2024年7月にかけてのデータと比較すると、商標の総件数自体はわずかに増えているものの、商標を保有する日系企業の数は減少傾向にあります。これは、米国の対中制裁やAI技術の普及が影響している可能性があります。
商標保有数の実態
調査の結果、商標を保有する日系企業は2,830社で、合計31,858件の商標が確認されました。これは前回の調査から比べて、商標数が1,026件増加したものの、保有企業数は減少しています。特に、「科学技術の普及・応用サービス業」は商標件数が前回の911件から1,183件に増え、8位に浮上しました。
日本親会社別の商標ランキング
日本の親会社ごとの商標保有数ランキングでは、「日本ペイントホールディングス株式会社」が増加数において首位になり、その傘下の「立邦塗料(中国)有限公司」が商標件数を大きく増加させています。特に、「第2類工業や美術用の顔料、着色剤、防腐製品」についての商標が624件も追加され、ランキング外から10位に上昇しました。
商標出願動向と未来への展望
2015年から2024年までの商標出願件数の推移をみると、2021年まで増加していたものの、その後は減少に転じており、2024年には年間出願が2,000件を下回る見込みです。この動向から、日系企業による中国市場での新事業展開やブランド戦略が鈍化している可能性が示唆されています。
総評と今後の戦略
調査によると、中国では商標の有効期限が10年であるため、期限が満了した商標の更新率は50%を下回っており、ブランド資産の管理が喫緊の課題となっています。商標保有の推移は、企業の市場での競争力やブランド戦略を理解するための重要な指標であり、効率的な知的財産の運用が求められています。今回の調査結果は、商標に関する深刻な実態を明らかにするものであり、各企業にとっては真剣に考慮すべき事項です。
調査結果の全文
調査の詳細な結果については、リスクモンスターチャイナの公式サイトで公開されています。興味のある方はぜひご覧ください。
リスクモンスターチャイナのレポート
おわりに
この新しい商標ランキングの発表は、日本企業が中国市場で直面する挑戦を理解するための貴重な情報源となります。商標の保有状況は企業の成長や持続可能性に関わる重要な要素であり、今後の戦略を考える上でも無視できないトピックです。