無線通信技術で風力発電の効率化を図る取り組みが始動

秋田県を中心とするコンソーシアムが、総務省の「地域社会DX推進パッケージ事業」に採択され、風力発電の運用とメンテナンスにおける無線通信の活用に関するプロジェクトを始める運びとなりました。主な参加企業には、株式会社秋田ケーブルテレビや株式会社Dshift、国立大学法人秋田大学などが名を連ねています。

背景

近年、国内ではカーボンニュートラル社会の実現を目指し、洋上風力発電が主力電源化される方向に進んでいます。しかし、洋上風力発電には多くの課題も存在しています。その中でも、運転保守コストが総事業費の3割を超えることが大きな悩みの種です。特に、一般海域やEEZ（排他的経済水域）の洋上サイトでは、外的要因によってメンテナンスが難しくなりがちです。特に悪天候によっては、発電が停止するリスクもあるため、迅速な対応が求められています。

プロジェクトの内容

本プロジェクトでは、これまで通信環境が整備されていなかった風車内部に、高速で低遅延、かつ高セキュリティのローカル5GやWi-Fiを設置する計画です。これにより、四足歩行ロボットや各種カメラを活用した遠隔点検や監視が行えるようになります。さらに、スマートグラスを装着した遠隔作業支援も実施され、メンテナンス業務の効率化を図ります。これによって、快速で信頼性の高い運用保守体制を確立し、電力供給の安定性を高めるとともに、地域の産業創出や持続的な雇用の確保にも繋がると期待されています。

コンソーシアム構成メンバーの役割

プロジェクトには多くの企業が関与し、それぞれが重要な役割を担っています。特に、株式会社秋田ケーブルテレビが全体の統括を行い、実証システムの構築や導入効果の検証を担当しています。株式会社Dshiftはソリューション開発を担当し、導入効果の分析や実装の横展開を行います。また、株式会社ウェンティ・ジャパンは実証フィールドを提供し、導入効果の検証に貢献します。国立大学法人秋田大学は学識経験者の視点から評価を行う役割を持ち、地域における社会実装評価も行っています。