住友林業株式会社は、インドネシアにおける新たな木質ペレット製造・販売事業を開始した。この事業は、付加価値の高いバイオマス燃料を安定的に供給することを目的としており、今年9月から現地の合弁会社で試験生産が始まった。
合弁会社の設立
新たに設立された合弁会社、PT. Biomassa Lestari Nusantara(BLN社)は、住友林業グループとPT. Dharma Energi Investama(DSNグループ)の合弁により2023年に設立された。BLN社は、木質ペレットの製造を専門とし、インドネシア中部ジャワ州に位置しています。製造したペレットは、住友林業グループによって全て購入され、日本国内のバイオマス発電所を中心に販売される予定だ。
事業の概要と狙い
この事業では、原材料として利用されるのは周辺の木材加工工場からの製廃材や、未利用の小径木である。これによりこれまで有効活用されてこなかった木材を資源化し、持続可能な形でペレットを生産することができます。初年度の生産量は年間で6万トンを予定しており、2026年にかけて増産を図る計画も立てられている。具体的には、2026年から第2フェーズとして生産量を12万トンに引き上げる見込みである。
さらに、大規模な供給網を築くことで、外的要因によって生じるリスクを低減し、安定した品質の木質ペレットを長期的に供給することが実現可能になる。住友林業グループは事業を通じて、木材の有効利用を促進し、脱炭素化にも寄与する方針だ。
バイオマス発電の背景
バイオマス発電の重要性は、経済産業省の「第6次エネルギー基本計画」においても強調されている。2020年度を目指してバイオマス発電の電源構成が従来の比率から5%に引き上げられることが見込まれており、これに伴って木質ペレットの需要も増していくことが期待される。最近の政治的状況や国際情勢の影響で発電用燃料の供給が不安定化しており、木質ペレットの価値がますます高まっている。
住友林業の長期ビジョン
住友林業は、2030年を見据えた長期ビジョン「Mission TREEING 2030」を掲げており、森林のCO2吸収量を増やすことで持続可能な社会の実現を目指しています。また、木材を最大限に活用する「ウッドサイクル」の推進も重要視しています。この取り組みを通じて、環境への貢献を果たし、社会全体の脱炭素化を進めていく方針だ。
まとめ
インドネシアにおける木質ペレット製造は、住友林業が未来に向けて着実に進めるバイオマスエネルギーの取り組みの一端である。今回の事業を通じて、木材を資源として再利用するだけでなく、国際的なエネルギー需給の不安定さに対応し、持続可能で安定した燃料供給を実現することを目指している。