子育ての未来を変える!「たたかない・怒鳴らない」環境づくりへの道
育児において、怒鳴ることなく、力に頼らない優しい子育ての必要性を訴えるNPO法人きづく(東京都港区)。彼らは「声をきかせてプロジェクト」を立ち上げ、子育てを取り巻く現状を調査し、報告書を発表しました。この調査は、ポジティブ・ディシプリンの参加者20名を対象に実施され、養育者がどのように子育てを見つめ直し、子どもとの関係性を構築しているのか明らかにしています。
調査の目的と内容
本プロジェクトの主な目的は、たたかず、怒鳴らずに子育てを行うために、養育者が現在必要としている支援や環境作りを探ることです。現在多くの育児に関する情報が氾濫している中で、調査結果は、養育者が必要としている具体的な「考え方」「場」に焦点を当てたものでした。
養育者の変化を実感
調査によれば、参加者はプログラム参加後、自らの育児観を見直し、子どもとの関係性を再考する機会を得ることができたという結果が出ています。養育者自身が「子どもの気持ちを大切にする」「子どもを一人の人間として尊重する」といった理念を実感し、日常生活に取り入れていることが確認されました。
ただし、プログラム終了後も、たたかず怒らずの方法を常に実践できるわけではないとの現実も浮き彫りになっています。忙しい生活や環境の変化に直面しながらも、養育者たちは「ポジティブ・ディシプリン」の考え方を活用し続けていることは、指導法が「こうすれば解決できる」といった即時的な答えを提供するのではなく、課題解決へのアプローチそのものが養育者に変化をもたらしているようです。
子育てを支えるつながり
また、参加者たちは、プログラムが他の養育者と安心してつながれる場であったと語りました。このことは、「温かさ」と「枠組み」を大切にしたプログラムが、養育者の安心感を保証していることを示すものであり、広く受け入れられる要因ともなっています。他の育児中の親たちと学び合い、経験を共有し、支え合うことで、日々の育児の楽しさや大変さを共感し合う環境が生まれています。
子どもを尊重する育児が求められる背景
特に最近のコロナ禍では、子育てに伴うストレスや孤立感が増大し、養育者に厳しい環境が続いています。調査結果からは、養育者が安心して自身の声を聞いてもらえる場の重要性が再確認されました。特に「自分の考えを話し、聞いてもらう」というプロセスが、自己肯定感を高め、育児においてポジティブな変化を促進する要因となることが示されています。
結論—良好な子育て環境の重要性
報告書では、今必要とされるのは「養育者自身が安心して子育てに取り組むことができる環境」と強調されています。自らを尊重される環境が整えられなければ、子どもに向き合うことも難しくなります。特に、今後の子ども達に健全な育ちを保証するためにも、養育者の権利や声を育む取り組みが必要です。養育者同士のつながりやサポート体制を充実させ、安心できる育児環境の整備に寄与するプログラム実施が求められています。
本調査の内容は、報告書として詳細にまとめられており、プロジェクトサイトからダウンロード可能です。育児の大変さや参加者からのメッセージも含まれており、興味を持たれた方はぜひご覧ください。
声を聞かせてプロジェクト WEBサイト
調査概要
- - 【実施時期】2022年6月~11月
- - 【対象者】ポジティブ・ディシプリン参加者から無作為に20名選定
- - 【実施方法】オンラインまたは対面インタビュー(約45分から60分)
- - 【分析方法】質的データ分析ソフトを用いて内容分析を実施
このように、今、養育者が必要としているサポートは何か、そしてどのように子どもたちを育てる環境を整えていくか、その重要性を再認識する機会となった調査結果は、今後の育児支援に大いに役立つことでしょう。