医療の未来を考える勉強会で示されたACPの重要性
2023年5月28日、日本の医療の未来を考える会が主催した第88回勉強会が開催されました。この勉強会は、急速な高齢化と医療技術の進歩が進む現代において、医療現場での患者の意思決定権について焦点を当てたものです。特に、自分で意思決定ができない患者が直面する終末期医療に関する課題が議題となりました。
現代の医療では、患者は自らが希望する治療を選択し、望まない治療を拒否する権利があります。しかし、意思決定が難しい状況に置かれた場合、適切な事前通告や意思確認が必要となります。このために欠かせない手法が、「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」です。ACPは、患者がまだ意思を持つうちに、その意向を信頼できる家族や親しい人と話し合っておくことを促します。
この日の講演者には、厚生労働省の中西浩之地域医療計画課外来・在宅医療対策室室長と、日本の緩和ケア分野の第一人者である筑波大学の木澤義之教授が招かれました。両者からは、ACPの重要性や新たな制度の方向性について貴重な見解が発表されました。
中西氏は、今後の医療制度においてACPの普及がいかに重要であるかを強調しました。彼は、終末期の患者が尊厳を持ってその時を迎えるためには、医療従事者と家族、そして患者が一体となって取り組む必要があると述べました。そして、ACPがそのプロセスを円滑に進める鍵であることを示唆しました。
一方、木澤教授は、実際の医療現場でのACPの推進方法や課題について具体的な事例を交えて説明しました。特に、ACPが果たすべき役割として、患者が自分自身の希望を明確にする手助けとなることが挙げられます。また、医療従事者が患者の意向を理解し、尊重することが求められると訴えました。
この講演は、医学や医療の現場で働く人々にとって、重要な知見を与えるものでした。参加者たちは会の後、自由な意見交換を行い、今後の医療について考えるきっかけとなる貴重な時間を共有しました。
講演の内容や詳細な報告は、月刊『集中』の7月号に掲載予定です。この号では、勉強会での議論や新たな視点についても詳しく紹介される予定です。
医療の未来について考えるこの会は、国会議員や病院経営者、大学教授など、高い専門性を持つ参加者が集まる場です。今後も毎月第4水曜日に勉強会が行われ、医療に関する重要なテーマが取り上げられます。参加にあたっては、医療機関や官公庁の関係者は無料で利用できる制度も設けられており、広く意見を交わす機会が提供されています。
このように、日本の医療の未来を考える際には、患者の権利を確認し、ACPを通じてその権利を尊重する姿勢が求められています。今後も引き続き、この動きが広がることが期待され、医療現場における患者の意向がより一層重視されることを願います。
【関連サイト】
日本の医療の未来を考える会:
http://www.iryounomirai.com/
月刊『集中』:
https://www.medical-confidential.com/
まとめ
今回の勉強会を通じて、ACPの重要性が再確認され、具体的な進め方に関する知識が広がりました。医療の未来に向けて、私たち全員が共に考え、行動することが求められています。