2024年日本EVエクスペリエンス調査の結果について
株式会社J.D. パワー ジャパンが2024年に実施した「日本EVエクスペリエンス(EVX) – オーナーシップ調査℠」は、本年が初めての試みとなります。この調査は、2021年1月から2024年3月までの間に初度登録された電気自動車(EV)及びプラグインハイブリッド車(PHEV)を保有するユーザーから満足度や保有体験を聞き取ることを目的としています。調査結果からは、ユーザーの意見や利用実態に関する興味深いデータが明らかとなりました。
軽EVと登録EVの保有環境の違い
調査では、軽自動車のEV(以下軽EV)と通常の登録車両のEV(以下登録EV)を比較したところ、保有環境や利用スタイルに顕著な違いが確認されました。
軽EVユーザーの91%が戸建て住宅に住んでおり、65%が複数台の車を保有する家庭に属しています。一方で、登録EVユーザーではその割合がそれぞれ80%と54%であり、軽EVユーザーと比較して低い数値が示されました。このことは、軽EVがより家庭向けの利用に適した選択であることを示唆しています。
日常的な利用用途においては、軽EVは通勤や買い物など日常生活で頻繁に使われる傾向が強く、ドライブや旅行などの長距離利用は少ないことが分かりました。対照的に登録EVは、日常の移動手段に加え、ドライブ(42%)や遠出(56%)といった長距離利用が多くなっています。
維持費の低減に対する意識
ガソリン車(ICE)やハイブリッド車(HEV)からの乗り換えユーザーの76%が、EVへの切り替えによる維持費の低減を感じていることがわかりました。具体的には、軽EVに乗り換えたユーザーでは75%、登録EVに乗り換えたユーザーでは71%が「今の車の方が維持費が安い」と回答しました。ここから、EVの普及にはその経済性を訴えることが重要だと考えられます。
また、維持費の低減を実感しているユーザーの次回のEV購入意向は高く、軽EVで88%、登録EVで87%に達しました。これは、維持費の安さがEVのリピート購入につながることを示しています。
自宅以外での充電事情
調査によると、登録EVユーザーの約27%が自宅以外での基礎充電を行っていることが判明しました。これは軽EVのユーザーに比べて高い割合であり、軽EVユーザーの9%にはかなりの差があります。特に、バッテリー容量の大きい登録EVユーザーが自宅外で充電することは意外な結果です。
このように、自宅外で充電ができる環境が整っていることから、集合住宅に住む利用者もEVを持ちやすいという可能性が見えてきました。
EVからの買い替え実態
登録EVユーザーの中で、直前車からの買い替えユーザーは81%ですが、そのうちの18%は既にEVを保有していた人々です。このことは、EV市場が限られた層からの需要に依存している可能性があることを示しています。これを打開するためには、ICEやHEVからの乗り換えを促すことがEV市場の拡大には不可欠です。
航続距離と性能劣化
最後に、所有するEVの航続距離についても調査が行われました。軽EVユーザーの15%、登録EVユーザーの19%が、購入時よりも航続距離が短くなったと回答しています。特に、登録EVユーザーでは、保有期間が長くなるほど、航続距離が短くなったとの回答が増える傾向が見られました。これはブレーキやバッテリー性能の劣化問題が今後のEV満足度に影響を及ぼす可能性を秘めています。
以上の調査結果から、EV市場の現状や利用者の声が明らかになっており、今後のEVの普及と発展にとって重要なデータとなることでしょう。今後の施策や改善点が期待されます。