クラスメソッドが提供する新たな開発フレームワーク「Tsumiki」
2023年10月、クラスメソッド株式会社がAI支援型テスト駆動開発フレームワーク「Tsumiki」をオープンソースとして発表しました。このフレームワークは、Anthropic社のAIエージェント「Claude Code」を活用し、プログラミングの質を向上させるための新たなツールです。
背景と課題の認識
近年、Vibeコーディングと呼ばれる手法を通じて、プログラミング未経験者でも容易にシステムを構築できるようになりました。しかし、企業の開発現場では、以下のような課題が浮き彫りになっています。
- - 仕様の不明瞭さに伴う実装の遅延
- - テスト不足による技術的な負債の蓄積
- - 本番環境での不安感の存在
クラスメソッドは、過去12か月間、40社以上の企業との協力を通じて、これらの問題を解決するためには「開発プロセスの規律」が不可欠であるとの認識を深めました。特に、AI技術を効果的に活用しつつ、チーム全体の標準化や品質保証のプロセスを確立するニーズが高まっています。
Tsumikiの特長
「Tsumiki」は、AI支援型テスト駆動開発(AITDD)という新しい手法を取り入れたフレームワークです。本番環境で信頼性のあるシステムを構築するためには、「仕様書ファースト」「テストファースト」「品質ファースト」という原則が重要視されています。これにより、ただ動作するコードを生成するだけではなく、明確な仕様に基づいた質の高いシステムを効率的に作成します。
AITDDの流れ
従来のテスト駆動開発(TDD)にAIを融合させたこの方法は、以下の基本的な開発サイクルから成り立っています。
1. 要件展開
2. 設計
3. タスク分割
4. TDD実装
このサイクルは、要件定義からテストケースの作成、実装、検証までを一貫して行うことを可能にします。
Tsumikiのコンポーネント
Tsumikiは、特に以下の3つの主要なコンポーネントで構成されています。
- - Kairoコマンド群: 要件展開から実装までの包括的なフローを提供。
- - TDDコマンド群: AIによるテスト駆動開発の新しいステップをサポート。
- - 統合ワークフロー: 複数のコマンドを組み合わせた開発プロセスの自動化を実現。
公開されたリポジトリは
こちらで、MITライセンスのもと商用利用が可能です。
今後の展望
クラスメソッドは、金融やヘルスケア、製造、小売といった業界向けの特有のテンプレートを開発し、Tsumikiをさらに発展させていく予定です。これにより、あらゆる業界でのシステム開発を支援し、より良い開発環境の提供を目指します。
クラスメソッドの役割
クラスメソッド株式会社は、AWSを利用したデジタルトランスフォーメーションの支援に特化した企業であり、4度の「AWSコンサルティングパートナー・オブ・ザ・イヤー」受賞や、2022年に「SI Partner of the Year」を受賞した実績があります。これまで約5,000社以上の企業をサポートし、技術発信に力を入れています。
「Tsumiki」は、未来のシステム開発において、AIの力を最大限に引き出し、プログラマから非プログラマまでが参加できる開発環境の実現を目指します。