公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)と中央大学は、2025年6月4日に共同でウナギに関する重要なファクトシートを発表しました。この文書では、絶滅が懸念されるウナギ類の流通や取引の現状について詳しく解説しています。主要な対象種であるニホンウナギ、ヨーロッパウナギ、アメリカウナギはすべて絶滅危惧種に指定され、違法漁業や取引の問題が深刻化しています。
特にアメリカウナギに関しては、需要の高まりがIUU(違法・無報告・無規制)漁業を引き起こし、持続可能な資源管理が求められています。中央大学は、日本国内で流通しているウナギ蒲焼のサンプルを用いた調査を行い、約6割がニホンウナギ、約4割がアメリカウナギであることを特定しました。この結果は、日本市場におけるウナギの多様性を示す重要なデータとなります。
アメリカウナギの調達に関する課題として、特にカナダにおいては、許可された採捕量を大きく上回る違法な漁業が行われています。これにより国際取引がさらに複雑化しており、特にアジア市場への影響が将来的な懸念事項となっています。またカリブ海諸国からもシラスウナギが流通していることが確認されており、こちらも不明瞭なトレースビリティが問題視されています。
このような状況において、関係国や地域が協力し、持続可能な資源管理に向けた取り組みを強化する必要があります。ウナギを愛する日本においては、消費者としても自らの選択が持つ影響に気付き、より持続可能な選択肢を取ることが求められています。消費者が意識することで、流通業界や企業に対する圧力が高まり、資源管理の改善へと繋がっていくでしょう。
WWFジャパンでは、ウナギを含む海洋生態系の保護に向けた様々な取り組みを行っています。また、中央大学の研究者たちも、ウナギの生態とその取引に関する最新の研究を進めており、国際的な視点からのアプローチが求められています。このファクトシートを通じて、ウナギの流通と資源管理が適切に行われる未来を実現するためには、国際的な連携や市民の意識向上が不可欠であることを訴えかけています。
私たち一人ひとりが、ウナギの持続可能な利用に貢献するために何ができるかを考え、行動していくことが重要です。ファクトシートは、全4ページの内容であり、詳細なデータと調査結果がまとめられています。興味のある方は、WWFジャパンのサイトからダウンロードし、ウナギに関する理解を深めていただければと思います。持続可能な未来のために、今私たちが何をするべきかを共に考える良い機会です。