朝井リョウの『生殖記』、2025年本屋大賞ノミネート
作家・朝井リョウの新作小説『生殖記』が、この度2025年の本屋大賞にノミネートされた。この作品は著者にとって、前作『正欲』以来3年半ぶりの新しい作品となり、多くの読者の期待を集めている。
ベストセラーへの道
『生殖記』は2024年10月2日に小学館から刊行された。発売初日からSNSでの口コミが次々と寄せられ、特に「語り手の正体が衝撃的!」や「何も知らない状態で読めてよかった」という感想が多く見受けられた。これにより、同書は各書店の売り上げランキングで一位を獲得し、今では10万部を突破するベストセラーとなっている。また、12月11日にはNHKの「おはよう日本」にて、あらすじやジャンルが非公表にもかかわらず、異例の反響を呼ぶ作品として紹介された。
さらに、1月10日には紀伊國屋書店が選ぶ「キノベス!2025」でも第1位に選出され、その人気はますます高まる一方だ。
『生殖記』の内容
物語の舞台は、ある家電メーカーの総務部に勤務する尚成という人物が描かれている。彼は同僚とともに新宿の量販店に訪れ、体組成計を購入するためではなく、寿命をより効率的に消費するために行動している。物語は、彼の目線を通じて、オスという存在にまつわる未知の視点を提供するもので、読者は新たな体験を得ることができる。
厳選された推薦コメント
この作品に対する推薦コメントも多く寄せられており、作家の金原ひとみは「この先人間について考える時、この小説から授かった根源的な視点を取り入れずにはいられない」と述べ、作品の奥深さを称賛している。また、綿矢りさは「『生殖記』が私は感じていた違和感の正体を暴いてくれた」と語り、読書を通じた気づきについてコメントしている。
哲学者の國分功一郎は「ギョッとする設定で展開される、エンサイクロペディア的な〈暇と退屈の文学〉。一息に読んでしまいました」と表現し、物語の独自性を強調している。マンガ家の魚豊は「語られなかった対象、語らなかった主体が紙面で出会う新しい読書体験が始まる」として、本書の新鮮さを評価している。
特設サイトとTVCM
『生殖記』の特設サイトでは、冒頭の試し読みや声優津田健次郎さんのナレーションによる発売記念TVCM、さらには書店員から寄せられた熱いコメントが紹介されている。特に、光の加減で表情が変わるホログラム箔があしらわれたカバーは、視覚的にも楽しませてくれるデザインとなっている。
著者情報
著者の朝井リョウは1989年岐阜県に生まれ、2009年にデビューを果たした作家である。彼は『桐島、部活やめるってよ』で小説すばる新人賞を受賞し、その後も数々の文学賞を受賞してきた。彼の作品には、深い人間理解に基づく洞察がちりばめられており、『生殖記』もその例外ではない。
書誌情報
- - 作品名: 生殖記
- - 著者: 朝井 リョウ
- - 定価: 1,870円(税込)
- - 発売日: 2024年10月2日
- - 判型: 四六判上製
- - 頁数: 288ページ
- - ISBN: 978-4-09-386730-6
- - 発行: 小学館
特設サイトでは、作品の魅力をさらに知ることができるので要チェックだ。