バラッサ・サミュエルソン効果とわが国の実質為替レートの変動分析

ババラッサ・サミュエルソン効果と実質為替レートの関係



近年、日本の実質為替レート(RER)の変動に影響を与える要因として注目されるのが、バラッサ・サミュエルソン効果(BS効果)です。この論文では、1970年代以降の日本のRERを取り上げ、BS効果の影響について検証が行われています。

BS効果とは何か?


バラッサ・サミュエルソン効果とは、国際的な生産性格差が為替レートに与える影響を説明する理論です。具体的には、貿易部門と非貿易部門の生産性の相対的差が為替レートに反映されるというもので、特に物価と購買力平価に関連しています。これは、内外需の変動、ホームバイアス、リスクシェアリング、各国の財政・金融政策など、複数の要因とも密接に関連しています。

日本のRERの長期的変動のメカニズム


本稿では、日米間のデータを使い、動学的確率的一般均衡(DSGE)モデルを構築することで、各要因を織り込んだ定量的な検証が行われました。特に重要な点は、貿易財の一物一価が成立しない場合の影響や、部門間の労働移動の制約がRERの変動にどのように働くかについても検証されていることです。

結果として、1970年代から1990年代半ばにかけてのRERの円高傾向は、貿易部門の相対生産性が上昇し、さらに1985年のプラザ合意も影響していることが確認されました。一方、1990年代半ば以降の円安傾向については、貿易部門の生産性が低下し、「逆バラッサ・サミュエルソン効果」が働いていることが示唆されています。

結論と今後の展望


バラッサ・サミュエルソン効果に基づく本研究の結果は、日本のRERの長期的な傾向を説明するための有効なモデルを提供します。これにより、今後の金融政策や経済戦略において、RERの変動の理解を深める一助となるでしょう。研究者は、さらなるデータ収集やモデルの改良を通じて、今後の研究を進める必要があります。この成果が、経済政策の形成にどのように寄与するのか、今後の動向に注目が集まります。

参考文献


  • - 日本銀行「バラッサ・サミュエルソン効果に関する研究」
  • - 論文データベースにおける関連文献

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