児童労働撤廃に向けた国際的な取り組みの現在と未来

2025年が「児童労働の撤廃」を目指すSDGs目標8.7の達成期限とされている中、最近、国際労働機関（ILO）とユニセフ（国連児童基金）から発表されたレポートによると、世界には依然として1億3,800万人の子どもが児童労働に従事していることが示されました。これまでの取り組みを11倍のスピードで進めなければ、2030年の目標達成は難しいという現実に直面しているのです。

このような背景の中、認定NPO法人ACEが設立した「児童労働ネットワーク(CL-Net)」が中心となり、6月12日に院内集会が開催され、政府、企業、NGOの関係者が一堂に会し、児童労働撤廃に向けたコミットメントを表明しました。

1. 世界の児童労働の現状

報告書によれば、児童労働者数は2020年の推計に比べ2,200万人以上減少したものの、アフリカ地域における問題は依然として深刻です。特に、サブサハラ以南のアフリカでは児童労働の割合が高く、全体の約6割を占めています。新型コロナウイルスの影響で児童労働者数が増加する懸念もありましたが、今回のデータでは子どもたちへの教育や社会的保護の強化が功を奏したとも考えられています。

2. 院内集会の開催と各国の取り組み

6月12日、児童労働反対世界デーに合わせて開催された院内集会には、法務大臣や厚生労働副大臣、外務副大臣など政府関係者が参加し、児童労働撤廃に向けた熱い議論が交わされました。法務大臣の鈴木馨祐氏は、企業のサプライチェーンにおける児童労働禁止の重要性を強調し、ビジネスと人権の観点からもこの問題に取り組む必要があると述べました。
また、宮路拓馬外務副大臣は、児童労働の問題が教育を含めた子どもの権利を侵害する深刻なものであるとし、社会全体での解決が重要であるとしています。

3. 児童労働の撤廃に向けた具体的な施策

ILOとユニセフの報告書は、2025年までに児童労働を撤廃するためには11倍の削減率を実現する必要があると警告しており、具体的な施策として社会保護政策の強化を挙げています。また、危険にさらされる子どもたちを特定し、適切な保護を提供する制度の強化が求められています。

ACEの政策提言としては、国際協力を通じた児童労働撤廃のモデル事業の推進や、国内法での児童労働の定義付け、データ整備の必要性が示されています。特に日本国内でも児童労働が存在するとされ、その正確な把握が急務とされています。

4. 未来に向けた展望と候補

ACEは今後も国際的な取り組みを強化し、各国政府や関係者のコミットメントを高めるため、自らの活動を続ける意向を示しています。2025年にはSDGsの進捗を図る国連ハイレベル政治フォーラムが開催され、そこでの議論が児童労働撤廃に向けた更なる推進力となることを期待しています。

今後も引き続き、政府・企業・NGOが一体となって、児童労働の問題解決に向けた努力を継続しなければなりません。