水産物調達の危機!日本の飲食業界を直撃する現状とは
一般社団法人Chefs for the Blueが実施した水産物調達に関する調査は、飲食店の現状を詳細に浮き彫りにしています。調査には1,301の飲食店オーナー及び食材調達担当者が参加し、95%以上が流通する水産物の量が減少していると回答。特にイカやウニといった魚種が重要な影響を受けていることがわかりました。
1. 改正漁業法施行後の状況
2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に認定されて以降、日本の食文化はますます注目を集めています。しかし、その裏側では生産量の減少が続いており、多くの飲食店が仕入れ困難な状況に陥っています。改正漁業法の施行以降、漁獲量の減少は明らかであり、これが飲食業界に与える影響は計り知れません。
2. 調査結果の詳細
調査において、以下のような結果が得られました:
- - 流通物量の減少:95.2%の店舗が流通する水産物の物量が減少したと回答。
- - 価格の高騰:99.6%が水産物の価格が上昇していると実感。
- - 危機感の共有:98%が今後の水産物調達について危機感を抱いていると答えました。
特に高価格帯のお店では、物量が「とても減った」と感じる割合が51.3%に達し、価格が「とても高くなった」との回答が78.1%にのぼります。これは顧客単価が30,000円以上の店舗で特に顕著です。これにより、飲食店の運営に大きな影響を及ぼしています。
3. 特に影響を受けている魚種
調査参加者が挙げた、仕入れ状況悪化が顕著な魚種は以下の通りです:
1. イカ類
2. ウニ
3. サンマ
4. 海老類
5. タコ類
これらの魚種は、飲食店のメニューにも広く使用されており、仕入れ困難は経営に直結する問題です。
4. なぜこうなったのか
最近の漁獲量減少の要因には、温暖化による海洋環境の変化の他に、過剰漁獲や沿岸開発、栄養塩の減少など複数の要因が影響を及ぼしています。これに対し、持続可能な漁業を実現するためには、しっかりとした資源調査が行われる必要がありますが、そのための予算が不十分です。日本はアメリカに比べて、資源調査関連の予算が非常に少ない状況にあります。
5. 今後の展望と希望
Chefs for the Blueは、政策提言書を提出し、持続可能な海のためのアプローチを進めています。また、生産履歴や流通情報のトレーサビリティを確保することで飲食店がサステナブルな食材調達を行えるようにすることも期待されています。
この調査結果は、単なる数字の集積ではなく、食文化を守るための警鐘です。私たちの食の未来を考える上で、これらのデータを基にした行動が求められています。