成長意欲を支えるエンゲージメントと組織設計
2025年8月号の『月刊先端教育』では、特集として「成長意欲を支えるエンゲージメント」を取り上げている。本テーマの背景には、急速に変化する市場環境と、企業が求める人的資本経営の重要性がある。リスキリングや成長に向けた意欲の向上が、組織の成長と発展において不可欠である。
特集の中で、まず注目されるのが従業員のエンゲージメントだ。これは、組織との心理的なつながりや、主体的な貢献意識に密接に関連している。従業員が自身の成長に前向きに取り組むためには、自らの内発的な動機づけが鍵となる。特に、リーダーシップのあり方や職務を通じた活力の引き出しが大切である。
職務資源の活用
中央大学の林祥平准教授は、「自分の強みを活かして活躍することで、仕事へのやりがいが生まれる」と指摘している。従業員が自己の強みを理解し、それを最大限に活用することで、ワークエンゲージメントが高まり、その結果リスキリングが促進されると述べる。
エンゲージメントの自己創造
さらに、エンゲージメントを創り出す過程については、株式会社アトラエの平井雅史氏が言及している。エンゲージメントは受動的に与えられるものではなく、労働者自身が積極的に捉え、組織の環境や資源を利用して「自分のやりがい」を見つけ出すものである。社員が自ら考えて行動することがエンゲージメントを強化する有効な手段となる。
チャレンジングな目標設定
神奈川大学の尻無濱芳崇准教授は、チャレンジングな目標を設定することがエンゲージメントには効果的だと述べている。また、近畿大学の多湖雅博氏は対話型組織開発(AI)がワークエンゲージメントを高める役割を果たすと考えている。マネジメントにおいて、従業員との対話と理解が必要とされる。これは、従業員が持つ潜在的なパフォーマンスを最大限に引き出す要素といえる。
中小企業の重要性
名古屋商科大学の矢本成恒教授は、特に中小企業が従業員一人一人を大切に扱うことが不可欠であると強調している。規模に関係なく、社員の存在価値を尊重する経営が、エンゲージメントを高める鍵となる。
次世代の学校組織を目指して
特集の第2部では、次世代の学校組織の構築が提起されている。教育改革が求められる中で、政府は「質の高い公教育の再生」を理念に掲げ、働き方改革を急務としている。東洋大学の葛西耕介氏は校長の職能開発における課題を指摘し、現場からの働き方改革の必要性を論じる。
特に、愛知県の公立学校の事例として、効果的な対話を通じた部活動改革など、具体的な取り組みも示されており、教育現場における新たな試みが注目される。
地域と教育のイノベーション
高知県の教育行政にもスポットライトが当てられている。自然環境や文化的な資源を持つ高知県は、地方創生に向けて「地域を支え、地域を変える人づくり」を推進。高知大学の受田浩之氏は、地域の資源を生かした教育の重要性を強調している。
こうした取り組みを通じて、地方においても人材の育成が進んでいることが示されており、今後ますます多様な教育機会が求められていくだろう。最後に本号では、地域を支えるプロジェクトや新たなコミュニティの形成についても言及しており、読者に新しい視点を提供する内容となっている。
このように、『月刊先端教育』2025年8月号は、エンゲージメントの観点から組織設計や教育の未来について深く掘り下げており、あらゆる教育関係者にとって有益な情報が満載である。