イオン住宅ローンサービス、基幹業務をOracle Cloudに移行
2025年6月17日、イオン住宅ローンサービス株式会社(以下、イオン住宅)は、完全クラウド環境への移行を完了したことを発表しました。この移行は、イオングループの金融部門を担うイオンフィナンシャルサービスの一環として行われ、基幹業務を支える融資管理システムがOracle Cloud Infrastructure(OCI)上で運用されることになりました。
従来のオンプレミス環境への課題
イオン住宅は、従来のオンプレミス環境で運用を続けていましたが、次のような問題を抱えていました。
- - ハードウェアの保守が終了し、セキュリティパッチの適用が遅れることが多かった。
- - 限られたリソースでは柔軟なリソース調整が難しかった。
- - 災害復旧の強化が求められていた。
特に、少人数で運営されている情報システム部門が持続的かつ安全に業務を続けることが重大な課題でありました。
クラウド移行の決定とプロジェクト推進
こうした課題の解決を目指し、イオン住宅は「Oracle Cloud Lift Services」による移行の実現可能性調査及び概念実証(PoC)を経て、OCIへの具体的な移行を決定しました。日本オラクルの支援を受け、オンプレミスのOracle Database環境からOCI上のOracle Autonomous Databaseへの移行が進められました。
取締役の鈴木淳氏は、「限られた人員体制でいかに安定したシステム運用ができるかが長年の課題だった」と述べ、OCIを活用することで社内基幹システムが統合・最適化されたことに満足感を示しました。
具体的な導入サービス
このプロジェクトで、以下のOCIサービスが導入されました:
- - Oracle Autonomous Transaction Processing
- - OCI Compute(ベアメタル・インスタンス)
- - Oracle Autonomous Data Guard
- - Oracle Cloud Observability and Management
このように幅広いサービスを取り入れることで、短期間でフルクラウド化が実現しました。
システム基盤全体の向上
本プロジェクトでは、融資管理システムに加え、業務管理系システムやリモートワーク用のシンクライアント環境など、広範囲にわたるシステム基盤がOCIに移行されました。その結果、日常的に使用する業務システムの可用性と柔軟性が飛躍的に向上したのです。
主な取り組みと導入効果
1.
セキュリティと可用性の向上
Oracle Autonomous Transaction Processingの導入により、セキュリティパッチの自動適用やデータの暗号化が可能となりました。
これにより、以前の問題点であったセキュリティ対応の遅延が解消され、データ保護が強化されました。
2.
柔軟なスケーラビリティ
OCI環境の導入によって、ビジネスの成長に応じた迅速なリソース調整が実現。これまでのハードウェア調達にかかる時間を削減することもできました。
3.
持続可能なIT運用の実現
少人数での運営でも、高度なセキュリティ・可用性を維持できるため、安定した運用が可能に。
4.
リモート保守への対応
OCI上のシンクライアント基盤により、リモートアクセスの安全性と効率が向上し、現代の働き方にマッチしたシステムが構築されました。
今後の展望
今後、イオン住宅は「Oracle Autonomous Database」に蓄積されたデータを活用し、生成AI技術を取り入れた新たな業務モデルを展開する予定です。また、自然言語を用いたデータベースの問い合わせ機能の実装など、先進的な取り組みを推進する展望を描いています。
まとめ
このように、イオン住宅ローンサービスのOCIへの移行は、業務の効率性と安全性両方を大幅に向上させるものでした。クラウド技術を駆使することで、リモートワークの環境整備や業務の柔軟性が一層進展し、今後のビジネスにおいても大きな影響を及ぼすことが期待されています。