育児と仕事の両立に苦戦する親たちが直面する現実とは
育児と仕事の両立は、特に共働き家庭やひとり親にとって大きな課題です。このたび、株式会社アシロが運営する労働問題ポータルサイト「ベンナビ労働問題」にて、10歳未満の子を持つ20歳から49歳までの男女3,042人を対象にした調査が実施されました。調査の目的は、育児と仕事を両立する上での現状と課題を明らかにすることです。
調査の背景
令和6年5月に育児・介護休業法及び次世代育成支援対策推進法が改正され、令和7年4月から徐々に施行されることになりました。新しい法律により、企業には労働者が希望する柔軟な働き方を認める義務が課せられ、育児と仕事の両立がしやすくなることが期待されています。しかし、育児自体が簡単ではないため、実際にどれほどの親が両立を感じているのかを探ることは重要です。
調査結果の概要
調査に参加した3,042人のうち37.9%は「育児と仕事の両立ができていない」と感じていると回答しました。さらに質問を進めると、最も多くの人が「自分の時間が取れない」や「子どもとの時間が少ない」との悩みを挙げています。このような状況から、働き方改革や子育てに関連する制度の整備が急務であることが明らかとなりました。
驚くべきことに、74.9%が「職場の理解がある」と答えています。多くの事業所が子育てに対する理解を深めているものの、実際に子育てと仕事の両立を考えるあまり、約65.1%が退職や転職を前向きに検討している点が示されています。中には、実際に離職した人もおり、その理由として「長時間勤務の解消」や「リモート勤務の実施」といった、労働環境の改善が求められています。
育児と仕事に対する満足度
調査により、対象者の世帯年収は600万円から800万円が多く、生活についての満足度はほぼ半分に分かれていることが浮き彫りになりました。具体的には、36.5%が「どちらかというと満足している」と答えた一方で、50.5%は「どちらかというと満足していない」または「満足していない」と回答しました。これにより、経済的なストレスも育児との両立に影響を及ぼしていることが示唆されます。
具体的な体験
調査参加者の中には、職場における成功体験やサポート制度についても語っています。例えば、育休を取得した上司の姿勢や、業務調整を行ってくれた経験など、具体的な理解を示すエピソードが多く寄せられました。これらのエピソードは、他社でも取り入れやすいものとして大変示唆に富んでいます。
退職・転職のリアル
育児と仕事の両立ができないと感じた結果、実際に退職や転職を考える方が多いことも調査から明らかになりました。200人を対象に行ったフォローアップ調査では、長時間勤務や育児に対する不十分なサポートが転職の理由として挙げられています。この結果、76.5%が転職後の状況が改善されたと感じている一方で、23.5%は改善されていないと答えており、転職を全ての解決策として捉えることが難しい現実もあります。
調査を通じてのメッセージ
育児と仕事の両立は、子育て世代にとって常に課題であり、多くの人がこの問題に直面しています。「ベンナビ労働問題」は、今後も明らかになった問題を解決するための情報発信を行い、一人でも多くの労働問題に悩む方に役立つことを目指しています。育児に正解はないため、みんながそれぞれの方法で挑戦し続けられる環境づくりが求められています。