微生物によるポリスチレン分解の新たな可能性を探る
慶應義塾大学理工学部の研究チームが、難分解性プラスチックであるポリスチレン(PS)を分解できる微生物を発見した。この研究は、日本農芸化学会2026年度京都大会で発表される予定となっており、プラスチック廃棄物問題の解決への関心が高まっている。
背景
近年、プラスチック廃棄物の環境への影響が深刻化しており、特にポリオレフィン系プラスチックの一種であるポリスチレンは、その生分解の難しさから問題視されている。ゆえに、プラスチック廃棄物を減少させるための解決策を模索する動きが高まっている。これに対抗する形で、ピーライフ・ジャパン・インクは、ポリオレフィン系プラスチックに生分解性を付与する添加剤P-Lifeを開発し、その効果が今注目されている。
研究の要点
慶應義塾大学の研究チームは、P-Lifeが含まれるポリスチレンを分解できる微生物を探索し、複数の分解菌を特定した。特に注目すべきは、T6-1(Cupriavidus sp.)およびS10、S15(ともにBacillus sp.)の3菌株で、これらがポリスチレンの顕著な分解を行うことが確認された。また、分解効率を高める手法として、ポリスチレンシートを紫外線で処理することが明らかにされ、これにより分解効果が向上することも示された。
分解菌の発見から得られた成果
研究チームは、これまでに取得していたP-Lifeを含むプラスチックを分解する菌株の中から、特にポリスチレンシートに対する分解能力を持つ微生物を見出し、その作用を確認した。結果として、P-Lifeを添加したポリスチレンは自然環境中で分解が可能であることを立証する大きな一歩となった。この発見は、マイクロプラスチックの分解や除去にも寄与する可能性があり、今後の環境保護活動に貢献することが期待されている。
今後の展望
この研究成果により、ポリスチレンの分解に関する新しいアプローチが示された。分解菌と生分解性添加剤P-Lifeの組み合わせにより、ポリスチレンの分解効率のさらなる向上が見込まれており、今後は実用化に向けた研究が進められる。また、環境負荷の低減に寄与することで、持続可能な社会の実現に重要な役割を果たす可能性が高い。最終的には、難分解性プラスチックの問題に対する効果的な解決策となりうる。
学会発表情報
本研究は、3月10日に開催される日本農芸化学会2026年度京都大会での発表が予定されている。発表に関わる研究者には、武井史織、黄穎、冨山績、安倍義人、内山修二、橋本則夫、宮本憲二らが名を連ね、この重要な成果に対する関心が高まっている。
最後に
本研究は、JST共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)により支援を受けながら進められたものであり、今後の持続可能な社会づくりに向けた一助となることが期待されている。