物価高騰で困窮を余儀なくされるひとり親家庭の実態とは

概要

近年の物価上昇は、特に低所得のひとり親家庭に深刻な影響を及ぼしています。認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパンが行った調査によると、ひとり親家庭の多くが経済的困窮に苦しみ、支出の見直しを余儀なくされています。この調査では、政府の支援や食品配付事業「グッドごはん」を利用するひとり親家庭を対象に、収入や生活状況を詳しく調査しました。

調査概要

今回の調査は2025年2月の間に実施され、2,345名が回答しました。回答者の多くは女性であり、年齢層は30代から50代に集中しています。また、居住地域は首都圏や近畿地方が中心です。

経済的な収入の厳しさ

調査によると、約65.9%の回答者が2024年の年収が200万円未満であり、特に4人に1人は100万円未満という厳しい状況です。この状況は、非正規雇用が多いこととも関連しており、回答者の約50%が非正規で働いています。

そんな中、非正規雇用を選択せざるを得ない理由として、子どもを育てるための時間や職場環境の制約が挙げられます。例えば、病を抱える子どもを持つ親はフルタイムでの就労が困難で、時間に融通の利く職を選ばざるを得ない状況にあります。

物価上昇と賃金の問題

物価が上昇し続ける中で、賃金がほとんど上がらない、あるいは微増に留まる状況はさらに生活を厳しくしています。調査結果では、賃上げがあったと回答した人はわずか20%であり、その中でも多くが物価上昇に対して十分でない昇給額であることがわかりました。月収で見ても、賃上げ後に増えた金額は4割以上が3,000円未満でした。

この現状を反映する自由記述のコメントには、「収入が増えないのに物価が上がる一方で、未来への不安を抱えています」といった声が多く寄せられました。親たちは子どもに十分な食事を与えることさえ苦しいと感じており、生活の質が低下しています。

世帯の困窮と貯蓄状況

また、回答者の約50%が世帯年収200万円未満であることも注目すべき点です。貯蓄がない世帯も多く、経済的な困難から脱却する手段が少なくなっています。多くの回答者は生活の緊張感から精神的にもストレスを抱えており、これは子どもにも悪影響を及ぼす可能性があります。

たとえば、世帯年収200万円未満のAさんは、体調を崩しがちで、食事を減らさざるを得ない状況にあります。また、Bさんは正規雇用ではないため将来の不安を抱える一方で、勉強を続けたくともサポートできる環境が整わないというジレンマに苦しんでいます。