東京大学IPCがインスタリムに1.5億円出資
東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(略称:東大IPC)は、オープンイノベーション推進1号投資事業有限責任組合を通じて、3DプリンティングとAI技術を駆使した義足製造を行うインスタリム株式会社に対し、1.5億円の出資を行うことを決定しました。この出資は、インスタリムが日本、インド、フィリピンで展開する事業に対する支援の一環として位置づけられています。
義足の必要性の高まり
現在、世界には義足を必要とする人が4,000万人以上いるとされ、特に開発途上国では糖尿病などの疾患により下肢の切断が後を絶たない状況です。糖尿病により8割以上の下肢切断が引き起こされており、その数は2045年には7.8億人に達すると予測されています。インスタリムは、この社会問題に対し3DプリンティングとAIを活用することで、義足制作の効率を飛躍的に向上させています。
3Dプリンティングによる革新
インスタリムは、義足の製造プロセスをアナログからデジタルへと移行し、義肢装具士が一人当たり製造できる義足の数量を10倍以上に増加させました。この技術革新により、質の高い義肢装具がより多くの人々に提供されることを目指しています。すでにフィリピンやインドで5,000本以上の義足を製造し、複数の公的機関と協力関係を結んでいます。
社会的意義と今後の展望
今回の出資は、フィリピンやインドでの成功を受け、インスタリムがさらなる国際展開を計画していることを示しています。今後、インドネシアやアジアを越えてウクライナ、ナイジェリアへの展開が進む予定です。
インスタリムの代表取締役CEO、徳島泰氏は「全ての人が質の高い義肢装具を手に入れられる世界を目指し、事業を加速させていきたい」と述べています。
AOI1号ファンドの役割
AOI1号ファンドは、東京大学を中心に株式会社とアカデミアとの連携を持ち、革新的な事業を支援するために設立されました。新たなビジネスモデルや技術を持つ企業への投資を通じて、オープンイノベーションの成功事例創出を目指しています。
まとめ
東大IPCの出資を受けたインスタリムは、社会的課題に取り組む姿勢を示すとともに、義足製造の将来的な発展を促進するシンボルとなることが期待されます。これにより、義足を必要とする多くの人々がより良い生活を送る手助けになることでしょう。