羽田の再生医療拠点「羽田Process Development Center」
日本の医療界に新たな希望をもたらす施設が誕生しました。それが、セルリソーシズ株式会社が東京都大田区に新設した「羽田Process Development Center」(以下、羽田PDC)です。このセンターは、細胞・遺伝子治療に関する高品質な製造部門を支えるCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)サービスを提供する拠点としての役割を果たします。
1. 羽田PDCの開設背景
セルリソーシズは、アルフレッサグループの一員として医薬品の開発と製造に取り組んでおり、新しい事業として再生医療のサプライチェーンの構築を掲げています。再生医療製品は、国産の細胞原材料を用いた製造が不可欠であり、国内外の研究機関やベンチャー企業との連携を深め、包括的なCDMO体制を整えてきました。このたび羽田に設立されたセンターでは、製造の自動化を進めることで、顧客ニーズに合った最適な製造プロセスを提案・実行することが可能となります。
2. 高性能な製造工場
羽田PDCは、細胞・遺伝子治療における多様な製造プロセスに対応するため、最新の自動化装置を導入しています。特に注目すべきは、以下の二つの装置です。
- - CliniMACS Prodigy:この装置は、細胞を分離し、遺伝子導入を行い、最終製品へと至る一連の製造プロセスを安全に自動化します。無菌環境での作業が可能なため、製品の品質と安全性を確保しながら、さまざまな細胞タイプに対応しています。
- - Gibco CTSTM DynaCellect System:免疫細胞の分離と活性化を自動で行うこの装置は、高い純度と生存率で細胞を取り出すことができ、治療に必要な品質を維持しやすくします。
これらの自動化技術により、製造工程が効率化され、従来よりも短時間での製品提供が可能となります。
3. 革新的なサービス展開
羽田PDCでは、プロセス開発サービスや治験薬の製造受託を行い、対応する規制当局への承認申請もサポートします。これにより、新しい治療法を模索する研究者や企業にとって、必要なサポートが一カ所で受けられる便利さが生まれます。特に、羽田空港近接という優位性を活かし、輸送効率が向上し、長期保存が難しい細胞を高品質のまま迅速に提供できる点が評価されています。
4. 海外展開も視野に
羽田PDCの設立により、国内市場だけでなく、韓国や中国、シンガポールといった東アジアおよび東南アジア市場へのサービス展開も視野に入れています。これは再生医療の技術を世界に広げ、国際的な医療発展にも寄与する意義深い動きです。
5. 終わりに
羽田PDCは、再生医療という究極の希望を提供するために設立されました。最先端の技術と専門知識を駆使し、医療の現場におけるアクセス向上の実現を目指します。2025年からの稼働開始が待ち望まれる羽田の新しい拠点が、未来の医療にどれほど大きな影響を与えるのか、大変楽しみです。