宮崎大学とユーグレナ社、ニワトリの免疫力向上に成功
国立大学法人宮崎大学(宮崎県宮崎市、学長:鮫島浩)と株式会社ユーグレナ(東京都港区、代表取締役社長:出雲充)、さらにあすかアニマルヘルス株式会社(東京都港区、代表取締役社長:山口文豊)の共同研究によって、ニワトリにパラミロンを配合した飼料を与えることで、獲得免疫能が向上する可能性が示されました。この研究成果は、2025年1月に開催された「第42回日本獣医師会獣医学術学会年次大会」で発表されました。
研究の背景と目的
畜産業界では、健康を維持しつつ効率よく育てるために、家畜の免疫力を強化する取り組みが国際的に進んでおり、その一環として国連食糧農業機関(FAO)は抗菌剤の使用を抑えた飼料の利用を推奨しています。これまで、ユーグレナ社はユーグレナやその成分であるパラミロンが人間の免疫維持に寄与することを示す研究成果を発表してきました。パラミロンは、ユーグレナに含まれる多糖類であり、食物繊維の一種として知られています。これがニワトリの免疫力向上にも寄与することが期待されています。
研究の進め方
今回は、生後7日目のニワトリ(Ross308)に対して、パラミロン無配合のコントロール飼料と、パラミロンを含んだ25mg、50mg、100mgの飼料を21日間与えました。これによって得た免疫系への影響を調査し、胸腺や脾臓、盲腸扁桃などの免疫関連細胞の相対的比率を比較しました。
研究結果
この研究で、パラミロン給餌によって免疫関連細胞の比率が増加することが確認されました。特に胸腺では、CD4陽性T細胞の比率が増加し、脾臓においても同様の傾向が見られました。一方、B細胞の比率には大きな変化は見られませんでした。また、ニワトリにKLH抗体を投与した結果、パラミロンを100mg配合した飼料を与えた場合に血中のKLH特異的抗体価が高くなる傾向が確認されました。これにより、ニワトリの免疫能が向上することが示唆されました。
今後の展望
この研究結果を受けて、今後はニワトリへのユーグレナ給餌のさらなる影響についても研究する予定です。特に免疫力強化と成長促進のメカニズムを解明することが、畜産業界への貢献につながるでしょう。
共同研究機関の紹介
宮崎大学
宮崎大学は教育・医学・工学・農学などの学部を持つ国立大学で、異分野融合型の研究を推進しています。
ユーグレナ社
ユーグレナ社は微細藻類の大量培養技術を持ち、バイオマス事業に取り組む企業です。
あすかアニマルヘルス社
あすかアニマルヘルス社は動物用医薬品の開発に注力し、動物の健康と食の安全を目指しています。
以上の研究成果は、未来の畜産業の免疫力向上に関する重要な一歩を示しています。今後の展開にも期待が寄せられます。