リフィル処方箋の普及と医療費への影響
近年、医療の効率化が求められる中で注目されているリフィル処方箋について、その普及状況や医療費への影響についての調査結果を報告します。リフィル処方箋は、患者の症状が安定している場合に、最大3回まで繰り返し使用できる処方箋で、2022年4月の診療報酬改定により新たに導入されました。
当社が保有するレセプトデータを基にした本調査は、2022年4月から2024年6月の期間における約940万人の医科外来・調剤レセプトデータを対象としています。この調査の結果、特にリフィル処方を取り巻く環境の変化に焦点を当てて分析を進めました。
1. リフィル処方箋の処方状況の推移
リフィル処方箋を提供する病院やクリニック、そして調剤薬局の動向について調べたところ、利用状況は2023年3月時点で僅か0.05%にとどまっています。これは、厚生労働省の発表とも一致する低い数字であり、今後の普及活動が求められます。特に、2023年12月には電子処方箋がリフィル処方に対応し、その利便性が向上することが期待されています。しかし、リフィル処方箋の利用に対する認知度の低さが最大の課題とされています。今後、診療報酬の改定による制度の見直しが利用促進に寄与することが期待されています。
また、年度別のリフィル処方箋使用回数のデータでは、医師の判断により最大3回の利用が可能であるものの、実際には多くのケースで2回指定が増加していることが分かりました。
これには、花粉症や長期休暇前の一時的な措置が影響していると考えられます。
2. 処方患者の傾向
調査結果によると、リフィル処方箋を受ける患者の多くは生活習慣病やアレルギーを持つ方々で構成されています。特に、アレルギー性鼻炎に関連する患者が多く、医薬品としてもアレルギー治療薬が主流です。2024年度のデータでは春の花粉症シーズンが含まれていないため、アレルギー関連の患者割合はやや少なくなっていますが、リフィル処方に期待される顕著な利用傾向は変わらず強いです。
3. 医療費削減の実態
最後に、リフィル処方箋を処方された患者の外来医療費の推移を調べました。2021年度と比較すると、2022年度には患者1人当たりの外来医療費が約3,647円、2023年度には約5,141円減少していることが分かりました。この結果は、リフィル処方が定期的に通院している患者の医療費に対して一定の削減効果があることを示しています。また、受診日数の減少も見られており、2022年度においては1.5日、2023年度には1.9日の減少が確認されています。
結論
リフィル処方箋は、まだ普及途上ではありますが、受診回数を減少させることで医療従事者や患者の負担軽減や医療費削減に寄与する可能性があります。今後の制度改善や普及活動によって、その効果は一層拡大することが期待されます。引き続きリフィル処方の進展に注目していきたいと思います。さらに、当社ではリフィル処方に関する様々なデータ分析を行い、健康管理への貢献を目指しています。