シュナイダーエレクトリックの新たな冷却ソリューション
2023年12月3日、シュナイダーエレクトリックがデータセンターやサーバールーム向けに、新たな局所冷却空調ソリューションである「InRow DXエコノマイザモデル」を発表しました。このモデルは、冷媒と冷水を併用したハイブリッド冷却方式を採用しており、注目すべき点は、年間約30%もの電力消費削減が可能という点です。
新たな技術の背景
最近のデータセンターでは、AIアプリケーションの利用が増加し、GPUサーバーの普及により高密度化が急速に進んでいます。そのため、大量かつ高温の廃熱を効果的に冷却する必要性が高まっています。一方で、この冷却にかかる電力消費も比例して増大しているため、省エネルギーの観点からの取り組みが急務となっています。2023年4月に施行された改正省エネ法では、データセンター業界が省エネのベンチマークとしてPUE(電力使用効率)の目標値を設定されました。
一般的に、データセンターでの電力消費の約30%から40%は空調によるものであり、そのための消費電力削減はPUEの改善に大きな影響を与えます。そこで従来の広範囲を冷却する方式から、局所的な冷却方式へと移行が進んでいます。
InRow DXエコノマイザモデルの特徴
新たに発表されたInRow DXエコノマイザモデルは、そのニーズに応えた製品です。このモデルは、冷媒と冷水を効果的に使い分けることで、冷却プロセスを最適化します。外気温度や冷水温度を自動的に判断し、以下の3つの運転モードを選択します:
1.
100%フリークーリングモード:外気温が低い場合に自動的に選択され、環境負荷を最小限に抑えます。
2.
圧縮機運転モード:水冷コンデンサと冷媒コイルのみで運用。
3.
ハイブリッドモード:フリークーリングと圧縮機運転を組み合わせた効果的な運転方式。
これにより、従来の水冷型のInRowモデルに比べ、年間で約30%の電力消費削減を実現しています。このような優れた性能が、噴熱管理の効率を劇的に向上させます。
経済性と省エネルギー効果
フリークーリングはその性質上、非常に高い省エネ効果が得られる一方で、設備投資が課題となることが多いです。しかし、InRow DXエコノマイザモデルは、そのコンパクトな設計により、スペースを取らず、コストを抑えた運用が可能です。これにより、効率的な冷却環境の構築が、より身近なものとなるでしょう。
シュナイダーエレクトリックの新技術は、持続可能性を意識した製品作りと、エネルギー効率の向上に貢献するものであり、業界の新たなスタンダードとなることが期待されています。今後も、エネルギーマネジメントの分野におけるシュナイダーエレクトリックの取り組みに注目です。