次世代型サーモン養殖の実証成功の裏側
株式会社Smoltと株式会社ベルデアクアが共同で実施した次世代型サーモン陸上養殖の実証試験が、成功裏に終了しました。この試験では、育種技術と電気分解によるろ過システムの両立により、カビ臭を完全に取り除きながら、高い成長率の維持が確認されました。
1. 背景と気候変動への対応
近年、気候変動による水温の上昇に悩まされる養殖業ですが、日本の沿岸では過去100年で海水温が約1.33℃上昇しています。その結果、従来のサーモン養殖に適した地域や時期の制限が強まり、養殖業者たちは新たな技術の導入を迫られています。特に、閉鎖型陸上養殖(RAS)では生物ろ過の効率が低下するなどの課題が残されており、この状況において新たなアプローチが求められます。
2. 実証試験の概要
本実証試験は2024年12月から2025年4月まで行われ、愛知県一宮市にあるベルデアクアの研究施設で実施されました。試験魚として、Smoltが開発した高温耐性のサクラマス種苗が用いられ、VA式電気分解式ろ過システムによる閉鎖循環式陸上養殖が行われました。
評価項目には、成長率、飼料効率、生残率、及びオフフレーバーの有無が含まれ、実施結果は以下の通りです。
- - 飼育水温: 15℃
- - 飼料効率 (FCR): 1.3
- - オフフレーバー: 検出なし
- - 生残率: 98%
- - 最大魚体重: 1480g
この結果から、両社の取り組みの有効性が実証され、次世代型サーモン養殖の可能性が開かれました。
3. 養殖モデルの特長
Smoltが開発した高温耐性サクラマスは、従来のサーモンが必要とする水温18℃以下に依存せず、20℃前後でも高い成長性を維持します。これにより、温暖な地域でも養殖が可能となり、新たな生産地の開拓が期待されます。
一方で、ベルデアクアのVA式電気分解式ろ過システムは、アンモニアの除去と病原菌の発生抑制を同時に実現。これにより、サーモンの品質向上と生産効率の向上が期待されるのです。
4. 今後の展開
今回の実証結果を基に、両社は商業規模での養殖展開に向けたステップを進める予定です。また、技術提供の拡大を図ることで、国内外の養殖業者に新たなソリューションを提供することを目指しています。特に、高品質なサクラマスのブランド化も目指し、市場展開にも注力する方針です。
5. 各社のコメント
試験結果について、Smoltの代表取締役である上野賢氏は「この成果は、日本の陸上養殖産業にとって重要なマイルストーンです。気候変動時代における持続可能な養殖業を実現するための新たなスタンダードを示すものです」と期待を寄せました。
また、ベルデアクアの竹廣洋児氏は「高い成長性とオフフレーバーの抑制が実証され、小規模養殖モデルの実現に向けた手応えを感じています」と述べています。
6. まとめ
育種技術と革新的なろ過システムの組み合わせにより、サーモン養殖の未来が大きく変わる可能性を秘めています。この試験は、持続可能で高品質なサーモン供給の実現に向けた一歩として、今後の展開に向けた期待を高めています。