特定技能外国人ドライバー制度の現状と運送業界の課題とは
株式会社Azoopが実施した実態調査によれば、2024年12月から開始される特定技能外国人ドライバー制度に対する運送業界の姿勢が明らかになりました。調査対象は運送従事者111名で、彼らの応答からは制度の認知度や人手不足感、そして採用に対する消極的な姿勢が浮かび上がってきたのです。
調査結果の概要
調査によると、運送会社の83.7%が人手不足を感じ、その認知度は96.3%に達しています。しかし、特定技能外国人ドライバーの採用に関しては、およそ64.8%が消極的であることが分かりました。これらの結果からは、運送業界が直面する厳しい現実が見えてきます。
採用に対するハードル
多くの企業が採用に消極的である最大の理由として、「日本語能力や運転技術に対する懸念」が挙げられています。特に運行の安全性が最重要視される運送業界において、特定技能外国人を採用するリスクには慎重な姿勢が求められます。また、日本人ドライバーとのコミュニケーションや文化の違いも現場での摩擦を生む要因とされています。
採用検討層の動機
採用を検討している企業の約8割は、日本人ドライバーの不足を理由に特定技能外国人の採用を考えています。しかし、それにもかかわらず採用に向けて「まだ何もしていない」とする企業が約半数を占めているのです。このような状況は、具体的な行動が伴わないことを浮き彫りにしており、運送業界の抱える即時対応が求められる課題に対する危機感が欠如している証拠とも言えます。
行政と支援機関への期待
調査においては、企業側が行政および支援機関に求めるサポート内容として「費用面での助成金や補助金」、「日本語教育に関する研修プログラム」、そして「トラブル発生時の法的支援」が上位を占めることが示されました。これにより、運送業界全体で採用にかかるコストや教育に関連する負担が非常に重いことが明らかになっています。
実証的なデータの重視
Azoopの代表、朴貴頌氏は「特定技能制度が広く認知されているにもかかわらず、採用に踏み切れていない企業が多い現実が見えてきた」と述べています。加えて、「安全面における日本語能力や運転技術の懸念、さらには既存の日本人従業員とのコミュニケーションの難しさが、大きな障壁となっている」と指摘しています。
まとめ
特定技能外国人ドライバー制度は、日本の運送業界の人手不足解消に向けた解決策の一つではありますが、実態調査を通じて明らかになった課題は決して軽視できるものではありません。制度の定着には、企業単独ではなく、行政や業界全体の協力が不可欠であることが示されています。物流は日本経済の重要な土台であり、その持続的な成長のためには、積極的な採用支援や教育体制の整備が急務でしょう。