高齢者の就労・社会参加の実態
旭化成ホームズ株式会社が行った調査によると、60歳を超えた方々の就労・社会参加に関する実態や意識が浮かび上がりました。この調査は、今後の高齢社会での活動を考える上で重要な情報源となるでしょう。
調査の概要と結果
調査は、65歳以上の男女を対象に実施され、全体で5,581名からの有効回答を得ました。結果はさまざまな興味深い数値を示しています。特に、65歳から74歳の方々の中では、男性の約50%が、女性の約30%が何らかの就労または社会参加活動を行っていることが確認されました。
このことは、高年者雇用安定法の改正による再雇用制度や定年年齢の引き上げ、さらに2025年からの65歳までの雇用機会確保の要求が影響していると考えられます。60歳の時点での就労活動を行っている割合は、男性で73.2%と非常に高い数値を示していますが、65歳を迎えることで急速にその割合が減少し始めます。
一方で、女性については男性のようなフルタイム勤務は少なく、パートタイムやボランティア活動を選ぶ人が多く見られ、参加割合の減少が緩やかです。
就労活動のタイプ
調査では、就労・社会参加活動のタイプを「生活費型」「現役延長型」「いきがい型」「習慣・交流型」「小遣い型」「無関心型」の6つに分類しました。これにより、年齢が上がるにつれて経済的必要性が低下し、自己充足や満足感が重視される傾向が見えてきました。
特に女性の場合、75歳以上では「いきがい型」が最も多くなる傾向がありました。これは、活動への参加が単に経済的な理由だけでなく、生きがいや自己実現に繋がっていることを示唆しています。
健康を支える活動の重要性
調査では、各活動の満足度がタイプによって異なることも明らかになりました。「いきがい型」に分類される活動は「身体」「心」「交流」の面での満足度が最も高く、活動そのものが健康を支える要素とされています。一方で、「活動していない」各項目の満足度は非常に低く、特に健康面では活動が不足していることが影響していることがわかります。
健康寿命と社会参加の関係
日本の65歳以上の人口は年々増加しており、2025年には総人口に対する割合が29.4%に達する見込みです。平均寿命と健康寿命の差が男女ともに縮小していることから、高齢者の活動によって健康が促進され、社会参加が積極的に行われれば、国の社会保障費の抑制にも繋がる可能性があります。
例えば、旭化成ホームズでは、元気なシニア向けに賃貸住宅「ヘーベルVillage」の提供を2005年から行っており、2025年にはさらに規模を拡大する計画をしています。このように、シニア世代の活動的なライフスタイルを支える取り組みが進められています。
今後の展望
この調査は単なる数字の報告にとどまるものではなく、シニア層が社会にどのように参加し、豊かな生活を送るためのヒントを提供するものとなっています。高齢者が自らの経験を活かし、持っているスキルや知識を活用することで、自己実現が図られることが重要です。
今後も、旭化成ホームズのLONGLIFE総合研究所は、健康で活力あるシニア世代の支援を続け、社会全体のウェルビーイング向上を目指していきます。