北海道の宗谷グリーンデータセンターが目指すAIインフラの未来
株式会社ジーデップ・アドバンス(以下ジーデップ)は、豊田通商株式会社および株式会社ユーラスエナジーホールディングスとともに、「宗谷グリーンデータセンターⅠ(仮称)」にPoC向けGPUテストドライブを導入することを発表しました。これにより、AIとビジュアライゼーションを活用した高性能・省エネルギーなGPUクラウド基盤の構築を進める予定です。
国内のAI市場の急成長
生成AIの台頭により、日本のAI市場は急成長を豊かに期待されています。2028年度には約2.8兆円に達する見込みで、その中でも生成AI市場は約1.7兆円に及ぶと予測されています。特に、大学・研究機関・産業界でのAI利活用が進展していますが、その一方でインフラ面での構造的な課題が浮き彫りになっています。
まず、安定的かつクリーンな電力供給が求められています。AI演算に必要な電力量は増加の一途をたどっており、特に高密度なGPUクラスタには数十から数百kWの電力供給が必要です。しかし、都市部に存在する既存のデータセンターは、電源容量やコスト面、再生エネルギーの導入において大きな制約を受けているため、持続可能なAIインフラの拡張が難しいのが現状です。
GPU演算基盤の需要の急増
さらに、生成AIや大規模言語モデル(LLM)の進展に伴い、GPU演算リソースの需要が増大しています。LLMは数十億から数千億のパラメータを扱うため、その保有に数十のGPUを必要とし、商業運用にはさらに大規模な演算能力が望まれています。日本国内ではこのスケーラブルなGPUクラスタの供給体制が整っておらず、AI技術の研究開発から社会実装までのサイクルを阻害する要因となっています。
一極集中からの脱却
現状、日本国内の主要なGPUリソースは首都圏のデータセンターに依存しており、この一極集中は自然災害や電力不足、地政学的リスクを内包しています。そのため、AI計算基盤の停止リスクが増大しており、事業継続マネジメントの観点からも分散化が喫緊の課題となっています。
その解決策として、「宗谷グリーンデータセンターⅠ(仮称)」が位置づけられています。このデータセンターは、ユーラスエナジーグループが北海道稚内市に建設する風力発電所に隣接し、直結で「生グリーン電力」を供給する初のデータセンターです。
ジーデップの取り組み展開
ジーデップはこのデータセンター内で、豊田通商のコンテナ型データセンターに最新のGPUサーバーを設置し、地域の大学や研究機関、企業、自治体を対象としたPoC向けテストドライブ環境を整備します。また、生成AIやデジタルツイン、エージェントAI等の新たな技術に向けて、100%再生可能エネルギーを利用した高性能・高信頼のGPUクラウドサービスを構築します。
これにより、2028年の本格稼働に向けまずは最小構成のGPUクラスタを導入し、段階的な設備の拡充を進める計画です。首都圏のAI計算リソースを地方に分散させることで、災害や電力障害に対する強靭性を向上させ、事業継続の観点からもリスクを分散することが期待されています。
地域産業への基盤支援
また、AI技術を用いた地域産業や教育・研究機関の支援を推進することで、社会インフラの多拠点化を進め、大学や研究機関、製造業、自動運転開発など、幅広い分野へのユースケース展開を図ります。この取り組みによって、単なるクラウドサービスではなく、「分散型AI社会」を支えるインフラを構築することを目指します。
今後の展望
本事業では、「安定的な電力供給」と「高性能GPU基盤の整備」、この二大課題に同時に取り組みます。東京一極集中からの脱却を図りながら、地方におけるリスク分散や事業継続性も重視しています。環境に優しい持続可能でスケーラブルなGPUクラウド環境を地域から構築することを通じて、分散型AIインフラの新たなモデルを確立することを目指します。
サービスの本格稼働は2028年を予定し、関係企業と連携しながら迅速かつ着実に進めてまいります。地域に根差したAI基盤の整備とその社会実装を通じて、持続可能な未来に向けた新たな道を切り拓くことに期待がかかっています。