近年、アメリカ国立医学図書館が提供するPubMedには、生命科学に関する膨大な文献が蓄積されています。このデータを利用して、株式会社FRONTEOは独自のAI技術「KIBIT」を駆使し、疾患に関連した遺伝子のネットワーク構造とその機能を新たに推定する技術を開発し、特許を出願しました。
FRONTEOの本社は東京都港区に所在し、代表取締役社長の守本正宏が指揮を執ります。「FRONTEO Drug Discovery AI Factory」と呼ばれる創薬支援サービス内で、この技術が活用され、AIによる仮説生成を行っています。このサービスは、医薬品開発のあらゆる段階でクライアント企業を支援し、成功率を高めることを目的としています。
新たに出願された特許技術には、3000万以上の論文が載っているPubMedの情報をAIが分析し、疾患と遺伝子の関連性をマップ化する仕組みが含まれています。この方法によって、特定の遺伝子群の生物学的経路や機能を正確に特定できるようになり、従来の「エンリッチメント解析」の限界を克服しています。
従来の手法では、特定の遺伝子セットに関連付けられた機能を統計的に算出するため、一定の情報が欠けてしまう場合がありました。このため、全ての遺伝子を考慮しなければならないという重要な課題がありました。しかし、新技術では、個々の遺伝子と疾患のネットワーク上で、遺伝子がどのように結びつきパスウェイを形成するかを精緻にモデル化することで、これらの課題を解決します。
その結果、疾患に関連する遺伝子群の機能をより効果的に特定し、創薬におけるターゲット探索や仮説生成においても新たな道筋を示しています。この技術により、医薬品が作用する際に発生する生物学的な現象を予測することが可能になり、特定のターゲットを狙った創薬の実現を支援します。
図に示されているのは、KIBITが生成した疾患に関わる遺伝子ネットワークの一例です。FRONTEOはこの革新的な技術をもとに、更なる医薬品開発の効率化を目指しています。また、グローバル規模で競争が繰り広げられている医療業界において、FRONTEOは海外展開も行い、日本だけでなく米国や韓国、台湾でも事業を展開中です。
FRONTEOは、研究開発の深化と社会実装を通じて、世界中の医療現場で求められる課題に取り組んでおり、健康で持続可能な未来に向けた新しいイノベーションの起点を創出しています。この特許技術が創薬の未来にどのように寄与するのか、今後の展開が注目されます。