地元密着型外食企業「MIHORI」の50年の歩み
山口市を拠点に、地元に根ざした飲食業を展開する株式会社MIHORIは、2025年に創業50周年を迎える。70年代にうどん店を開業したことから始まった同社は、現在25店舗を持ち、地域の人々に愛されている。特に「みほり峠」大内店は「ソウルフードレストラン」として知られ、多くのファンに親しまれている。
MIHORIの成功の鍵は、「地元密着の経営」にある。創業者の藤井公氏は、地元に戻り、飲食店の立ち上げに関与。その中で、うどんを「汁物」として位置づけ、天ぷらや刺身、一品料理を組み合わせた「お膳スタイル」を導入。これが瞬く間に評判を呼び、家族連れに人気を博すこととなった。
和食ファミリーレストランのブーム
この「お膳スタイル」はその後も進化を続け、1980年代後半には「和風ファミリーレストラン」ブームを牽引する存在となった。バブル期には、多くの飲食業者が同様のスタイルを取り入れ、藤井氏の経営理念である「地元密着」を念頭に置いた経営がさらに波及することになった。
藤井氏は、「地元から愛される経営」を重視し、外部からの影響を受けることなく、地域に根ざした商売を続けていると語る。「逃げ場のない地元密着経営」として、周囲と深く関わりながら、常に愛され続けている。
有機野菜の自給自足と新たな挑戦
2016年には新たな取り組みとして、農業法人「みほりファーム」を設立し、自社で有機野菜を生産することに踏み切った。地元の新鮮な野菜を用いたメニューが人気を集め、さらに店舗内での新鮮な野菜販売も行うなど、農業と飲食業の融合を目指している。これにより、同社の理念である「誠実」と「安心・安全」を実現している。
また、同社は有機食品加工業にも挑戦。調達した有機野菜をペースト化し、様々な食品の素材として展開している。この新たなプロジェクトにより、MIHORIの製品は料理人や菓子店など、広範囲に利用されることに。
唐揚げ粉の自社生産と展開
MIHORIでは、唐揚げ粉の自社生産にも力を入れており、家庭用・業務用として全国的に提供を行っている。1978年からの長い歴史を持つこの製品は、同社が展開するすべての飲食店で使用され、地域のスーパーでも定番商品となっている。これは地域密着型の企業としての成果を示している。
山口市の魅力を改めて
このように、MIHORIは山口市の地元密着型ビジネスとして多様な事業活動を展開し続けている。2024年には「行くべき街」として、米国ニューヨーク・タイムズから選出されるなど、国際的にも注目を浴びている。観光公害が少なく、コンパクトにまとまった観光スポットを持つ山口市は、訪れる人々にとっても魅力的な街となっている。
MIHORIの食文化や取り組みを通じて、山口市の豊かな魅力を体験することができるだろう。地元密着の企業として、これからも多様な食の形を提案し続けるMIHORIに期待が寄せられている。