日本化薬のCDPスコア向上の秘訣
日本化薬株式会社は、その事業運営においてサステナビリティを重要視し、環境への負荷を最小限に抑える努力を続けています。最近、その取り組みを進化させるため、株式会社エスプールブルードットグリーンとの提携を果たし、CDP(Carbon Disclosure Project)スコアの向上を実現しました。この協力関係について、同社の執行役員である加藤芳則氏にインタビューしました。
サステナビリティへの取り組み
日本化薬は、火薬技術を応用した安全部品の提供を通じて、モビリティ&イメージング事業領域を中心に多岐にわたる製品を展開しています。しかし、製造業である以上、二酸化炭素の排出や工場からの排水は避けられません。外部に対する影響をできるだけ減少させることを目指す中、同社は特にCDPへの適切な応答に課題を抱えていました。投資家や株主が何を求めているのかを十分に理解せず、開示が行われている状況でした。
エスプールブルードットグリーンとの連携
2016年から2020年の間、日本化薬は自力でCDP質問書に回答を試みましたが、設問の意図を理解していない部分も多くありました。それゆえエスプールブルードットグリーンの支援が決め手となりました。彼らは設問の意図を明確にし、必要なデータの収集方法まで丁寧に指導しました。このパートナーシップは、CDPに向けた回答プロセスを飛躍的に改善したのです。
スコア向上の成果
この連携により、日本化薬のCDPスコアは目に見えて改善されました。自ら回答していた際のスコアは「B-」でしたが、エスプールの支援を受けた初年度には「B」、翌年には「A-」にまで達しました。このような向上は、社内のより良い施策の設定にも寄与し、株主総会でのCDPスコア公表を通じて、ステークホルダーへのアピールにもつながっています。
経営層の理解と社内協力
サステナビリティに関する調査や対外的なアピールを進めるには、経営層の理解が不可欠です。地道な努力と、世間の関心の高まりによって、経営層の理解は深まってきたと言います。また、経営企画部やコーポレート・コミュニケーション部との協力を通じて、社内全体での開示推進も進められています。
将来の展望と課題
今後の課題としては、原料のデータ収集が難しいという現実があります。特に中国やインドのサプライヤーとの連携においては、Scope3の算定や目標設定が重要です。加藤氏は、2030年に向けたさらなる挑戦を意識し、CDPのデータ収集をさらに精緻化する必要性を感じています。また、エスプールブルードットグリーンとはTNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)開示に向けた取り組みを始め、今後もステークホルダーの要求を的確に理解しながら、持続可能性への取り組みを強化していく考えです。
このように、日本化薬のサステナビリティへの取り組みは、エスプールブルードットグリーンとの協力によって、着実にスコアを上げ、企業の社会的責任を果たす姿勢を示しています。