新たな製造設備が四日市に登場
第一工業製薬(本社:京都市南区)は、リチウムイオン二次電池の需要増加に応じて、四日市工場の霞地区に負極用水系複合接着剤「エレクセルCRシリーズ」の製造設備を新たに導入することを発表しました。この新しい接着剤は、近年の電池技術においてますます求められる高容量化や長寿命化に対応して開発されています。
エレクセルCRシリーズとは
リチウムイオン電池の負極には通常黒鉛が使用されていますが、最近ではシリコン系材料が添加されることで高い容量が実現されています。シリコン系材料は充放電中に膨張や収縮が生じるため、電池の構造にダメージを与え、その結果、電池寿命が短くなる問題があります。「エレクセルCRシリーズ」はこの課題を克服するために設計されており、黒鉛を使用せずシリコンだけを活用した電極でも安定した構造を維持し、長寿命化を図ることが可能です。さらに、樹脂の弾性率や強度を調整することで、汎用品では難しい膨張収縮への適応性を実現し、高い復元性を持っています。
設備投資の概要
今回の設備投資は約30億円で、2027年度の稼働開始を見込んでいます。この新たな製造能力の増強は、2025年5月に滋賀工場において実施された増強に続くもので、今後市場拡大と顧客ニーズに応える体制を確立することが目指されています。特に小型機器や電気自動車(EV)分野での伸長が期待されています。
環境への取り組み
第一工業製薬は、2025年から「SMART 2030」という中期経営計画をスタートさせ、環境・エネルギー分野に注力していくことを示明しています。この計画の下で、2030年には売上高1,000億円、営業利益100億円を目指し、環境・エネルギー分野では売上高300億円を見込んでいます。
今後も当社は持続可能な社会の実現に向けて環境負荷を低減する技術の開発に取り組み、リチウムイオン二次電池用水系複合接着剤の成長を促進していく方針です。
結論
第一工業製薬の四日市工場での新たな製造設備の設置は、持続可能なエネルギー分野における技術革新を象徴するものです。これにより、リチウムイオン電池の性能向上を目指し、環境に優しい社会の実現に寄与することができるでしょう。