靴下や下着、肌着などの衣類は、他の衣服に比べてライフサイクルが短く、廃棄されることが一般的ですが、実際の消費者の意識や行動についてはどのような実態があるのでしょうか。今回は、Bioworks株式会社が実施した調査結果を基に、靴下や下着、肌着のリユース・リサイクルに関する現状と課題について詳しく探っていきます。
調査概要とは
Bioworksが行ったこの調査は、全国の20歳以上の男女1,111名を対象にして実施されました。調査では、靴下や下着、肌着の購入枚数、着用期間、手放し方などが掘り下げられました。
消費実態の結果
調査によれば、過去1年間で購入した衣類の平均枚数は靴下が3.9足、下着が3.4枚、肌着が2.9枚でした。特に注目すべきは、靴下の平均着用期間が1.6年、下着が1.8年、肌着が2年と、いずれも比較的短いことです。
手放し方に関しては、靴下で87.5%、下着で87.4%、肌着で82.2%が「ゴミとして捨てる」を選びました。この結果から、約9割がリユースやリサイクルせずに廃棄されていることが判明しました。これは、環境省の調査によると、家庭から廃棄される衣類の66%がゴミとして廃棄されているというデータとも一致します。
環境への影響
これらのデータを踏まえると、靴下・下着・肌着の廃棄が環境に与える影響は計り知れません。日本の15歳から70歳までの人口において、年間で平均2.75足の靴下を廃棄した場合、そのうち87.5%がゴミとして捨てられると仮定すると、年間の廃棄量は約1億9250万足、CO2排出量は約22,000トンに達します。これは東京ドーム約9杯分に相当します。
リユース・リサイクルの障壁
調査では、靴下・下着・肌着のリユース・リサイクルが進まない理由も明らかになっています。消費者がリユース・リサイクルする際には、衛生面での不安、使用感に対する気掛かり、リサイクルショップでの買取が難しいという具体的な障壁が存在します。また、手順の不明確さや面倒な手続きも、消費者の行動を妨げる要因となっています。
未来への提案
今後のアパレル産業においては、環境負荷を減少させつつ、商品を長く使うための方策や、ライフサイクル後のリサイクルを考慮した服作りが求められます。特に、靴下・下着・肌着のような短命な衣類に関しては、より環境に優しい素材への変更や、リサイクルのしやすさを重視した設計が急務です。
また、消費者の心理的な障壁をクリアするためには、回収プロセスの透明性を高め、実際にリサイクルされる様子を説明することで、消費者の理解を深めることが重要です。効果的なリユース・リサイクルの仕組みが整うことで、靴下や下着、肌着の循環性が高まることが期待されます。こうした取り組みは、より持続可能な未来へと繋がる一歩となるでしょう。