アルツハイマー病治療の新時代:アデュカヌマブの承認とは

アルツハイマー病治療の新たな武器、アデュカヌマブ



アルツハイマー病は高齢者に多く見られる認知症の一因で、脳内にアミロイドと呼ばれるタンパク質が蓄積される状態が特徴です。このアミロイドは神経細胞に悪影響を及ぼし、記憶や言語能力、さらには計画的な行動に影響を及ぼします。そのため、アミロイドの除去がアルツハイマー病治療において重要視されています。近年、米国食品医薬品局(FDA)は、脳内アミロイドを除去するアデュカヌマブという薬剤の承認を行いました。

アデュカヌマブは、Neurimmune社が開発したヒトモノクローナル抗体で、バイオジェン社とエーザイ社が共同で取り組んでいます。この治療薬は、脳からアミロイドを除去する機能を持ち、静脈注射によって投与されます。注射後、アデュカヌマブは血液脳関門を通過し、脳内のアミロイドに結合。その結果、免疫系の力を借りてアミロイドを排除します。Neurimmune社のCEO、ロジャー・ニッチ氏は、臨床試験においてアデュカヌマブが脳からアミロイドを効果的に除去したことを強調しました。

臨床試験の結果、アデュカヌマブは投与量や投与期間に依存して脳内のアミロイドを59%から71%削減することが確認されており、その効果に基づいて迅速な承認が得られました。ハーバード大学メディカルスクールのジョン・グロウドン博士は、アデュカヌマブの発見が小さな研究チームの取り組みから、最終的にはグローバルな協力の成果であることを述べており、これはアルツハイマー病における大きなブレークスルーになると語っています。

アデュカヌマブとは



アデュカヌマブ(ADUHELM)は、アルツハイマー病に対する唯一無二の治療薬として位置づけられています。この薬剤は、脳内のアミロイドベータプラークを減少させることで、アルツハイマー病の進行を抑える効果があるとされています。FDAによる承認は、治療が行われた患者のアミロイドベータプラークが実際に減少したことを基にしており、今後、確認試験での臨床的ベネフィットの検証を条件に継続的な承認が求められる見込みです。

Neurimmune社は、2007年にバイオジェン社とアデュカヌマブの共同開発契約を結び、以来、両社はこの薬剤の開発に向けて長年にわたる協力を行ってきました。

Neurimmune社の未来



Neurimmune社は、現在もアルツハイマー病だけでなく、筋萎縮性側索硬化症(ALS)やその他の神経疾患に対して、新薬候補を開発中です。アデュカヌマブの他にも、抗タウ抗体や抗miSOD1抗体、抗ATTR抗体などが臨床試験中であり、今後の展望に期待が寄せられています。

このように、アデュカヌマブの承認は、アルツハイマー病治療の新たな道を開くものであり、今後の治療法の進化にもつながる可能性が高いと考えられています。患者さんやその家族にとって、希望の光となることを願いたいです。

会社情報

会社名
Neurimmune AG
住所
東京都新宿区新宿3-1-24京王新宿三丁目ビル6階
電話番号
03-5369-3939

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