既存顧客からの売上拡大を目指す攻めのCS・CIS戦略の実践
2026年3月13日、B2B・SaaS業界の成長を支えるセミナーが開催されました。タイトルは「攻めのCS・CIS」組織の構築術。現在、企業が既存顧客からの売上を如何に拡大するかは、競争が激化する中で避けては通れない課題です。特に顧客維持率を少し改善するだけで、利益が大幅に向上することが示されています。ここで、新たに注目を集めるのが「CIS(カスタマーインサイドセールス)」という役割です。
既存顧客から商談を生み出す新たなアプローチ
第一部では、CISの役割について、EmpowerXの佐藤氏が詳しく解説しました。従来のCS(カスタマーサポート)はオンボーディングや問い合わせ対応などの守りの業務に追われますが、CISは新たな商談を創出するための「攻め」の役割を担います。「顧客に対して能動的に価値提供を行い、商談を創出するのがCISの役割です」と佐藤氏は述べました。
LayerXの大竹氏は、この新しい役割の重要性を実例を交えて語ります。彼の会社では「バクラク」シリーズのラインナップが増え続けており、顧客へ情報を届ける負担を分散させるために、EmpowerXにCISを依頼したとのこと。このプロセスによって、商談創出の仕組みが徹底的に最適化され、従来の属人的なアプローチから卒業しました。
LTV最大化への組織設計
第二部では、JCSの長谷川氏がLTV(顧客生涯価値)を最大化するための組織設計に関する考えを披露しました。長谷川氏によると、CS組織が「解約防止」に重きを置くと、攻めの提案が放置される傾向にあります。その結果、経営層からは「コストセンター」と見なされ、投資が滞る悪循環に陥ります。
彼の提案は、CSを営業・マーケティングと共に「収益責任」を持つ組織の中心に据えること。これにより、全員が拡大責任を共有し、ルーティン業務をAIや専門チームに割り振ることで本来の業務に注力できる体制を構築します。そして、営業スキルと提案スタンスを持つ人材を育てることが必須だと主張しました。
AI活用によるデータの統合
第三部では、UPDATAの岡村氏がAIを用いて顧客データを統合する重要性について語りました。顧客情報が多数のツールに散在している現状では、状況把握が難しいことが問題です。そこでAIが導入され、データが一元化されることで、より質の高い提案が可能になります。
岡村氏は、特に「文脈」を重視したアプローチの重要性を強調しました。過去の情報を関連付け、顧客にとって価値のある提案を行うことが成功につながると述べます。既にこの手法を導入した企業では、アップセル商品提案の成功率が急上昇している事例も紹介されました。
まとめ
このセミナーを通じて明らかになったのは、CS・CISの成功は単なる個人の能力ではなく、仕組みの整備によるものだということです。役割、組織構造、データの統合が求められます。既存顧客の維持と深い関係の構築こそが、利益改善への最短距離であることを認識させられる貴重な場となりました。今後、この知見を活かし、貴社も「攻めのCS・CIS」にシフトしてみてはいかがでしょうか。