広告苦情の50年を振り返る
公益社団法人日本広告審査機構(JARO)が、設立50周年を記念して「苦情の50年史」を公開しました。この資料では、1974年度から2023年度に寄せられた約26万件の苦情を集約し、広告に対する消費者の意識の変化を分析しています。
苦情件数の推移
JAROの苦情受付は、1974年度に54件からスタートしましたが、2023年度には10,874件にまで増加しました。特に1990年代から2000年代にかけては、テレビ広告や折込広告に関する苦情が急増しました。最近ではインターネット広告が重要な課題となり、2019年度にはインターネット関連の苦情がテレビを超える状況となっています。その結果、2020年度には過去最高の15,100件を記録し、特定の広告形態や業種に対する消費者のアンケートが続いています。
時代と共に変化する苦情の内容
「苦情の50年史」では、広告表現に対する消費者の声や、毎年度の重要なトピックスを詳しく解説しています。初期の頃は不動産や食品分野の誇大広告が目立ちましたが、その後は不快感や子どもに対する影響を懸念する声が増え、苦情の内容も進化してきました。特に、健康食品や美容商品に関する騙し広告が増えたことが顕著です。これらのトレンドは、社会情勢や流行に影響されると共に、消費者が抱く広告への問題意識の根幹は変わっていません。
JAROの役割と今後の展望
JAROは、消費者が不適切に感じる広告をなくすために活動してきた広告自主規制機関です。年間約10,000件の苦情を受付け、審査するだけでなく、広報活動やセミナーなども通じて業界全体の広告適正化に寄与しています。さらに、50年間のデータに基づいた有益な情報は、今後の広告業界の規制や倫理に影響を与えるとともに、消費者の権利意識を高める役割を果たすでしょう。
まとめ
「苦情の50年史」は、広告に対する消費者の声が如何に変わり、また時代と共にどのように媒体が発展してきたのかを示しています。JAROの取り組みを通じて、広告がより良い形で進化していくことが期待されます。ぜひ、詳細については公式サイトをご覧ください。
苦情の50年史 詳細はこちら
参考情報
- - JAROの設立からの受付件数推移や業種ごとの苦情統計など、興味深いデータが掲載されています。
- - 消費者への啓発活動や業界との連携により、今後の広告の在り方を見据える重要な資料と言えるでしょう。
シンポジウムの開催
次回、10月10日には「AI時代、広告と消費者のこれから」と題した記念シンポジウムも予定されています。これは、技術の発展が広告表現に与える影響や消費者側の視点を検討する機会になるでしょう。