新たな農業のステージへ
出光興産株式会社、Lam Son Sugar Cane Joint Stock Corporation(略称:Lasuco)、サグリ株式会社は、ベトナム・タインホア省において共同で農業分野におけるカーボンクレジット登録を目指すプロジェクトを発表しました。この取り組みは、サトウキビ畑を利用した環境再生型農業を通じて、温室効果ガスの排出削減を図るものです。
プロジェクトの概要
出光興産をはじめとする3社は、Lasucoの契約農家が耕作する約500ヘクタールの農地を対象に、先進的な衛星解析技術を導入し、作物の生育状況や土壌のコンディションをリアルタイムでモニタリングします。この技術により、施肥の最適化が図られ、一酸化二窒素といった温室効果ガスの削減が期待されます。
環境再生型農業とは?
環境再生型農業とは、土壌の健康を守り、改善を目指す農業スタイルです。農業の生産性を維持しつつ、環境に配慮した農業を行うことで、持続可能な農業を実現することが目的です。
温室効果ガス削減への具体的アプローチ
本実証プロジェクトでは、衛星データを基に農地の最適管理を実施し、化学肥料を削減すると同時に、有機肥料を適切に使用することで、一酸化二窒素の排出を削減します。また、土壌における炭素貯留量を増加させることで、地球温暖化防止にも貢献します。
遠大な目標
もし本プロジェクトを通じて実際に温室効果ガスの削減が確認されれば、世界最大手のカーボンクレジット認定機関であるVerraの認証を受けることが可能です。これにより、2026年以降には、対象農地を約8,000ヘクタールまで拡大し、さらに多くの農家に環境再生型農業を導入する構想があります。
ベトナムの脱炭素化に貢献
このプロジェクトは、ベトナム政府が掲げる温室効果ガス排出ゼロの目標(2050年まで)に沿ったものでもあり、特に農業分野における脱炭素化を進める重要なステップとなります。将来的には、他の地域や作物にもこのモデルを展開することが期待されています。
各社の役割と背景
- - 出光興産株式会社:投資およびベトナム政府との折衝を担当。1940年に設立されたエネルギー企業で、燃料油や再生可能エネルギーの分野で広く知られています。
- - Lasuco(Lam Son Sugar Cane Joint Stock Corporation):農業との協力を通じてプロジェクトを実施。1980年設立で、製糖および電力生産分野で展開しています。
- - サグリ株式会社:衛星データ解析によるプロジェクト管理を行います。2018年設立の企業で、農業のデジタル化に取り組んでいます。
結び
出光興産、Lasuco、サグリの連携によって生まれたこのプロジェクトは、環境に配慮した循環型農業のモデルケースとなることを目指しています。これを通じて、持続可能な農業とカーボンクレジット登録の促進が期待され、ベトナムの農業界に新たな風を吹き込むことでしょう。