平等推進の意識変化と世界各国の趨勢について
2025年に発表されたイプソスの平等指数調査は、世界31か国における平等に対する意識を反映しています。この調査では、平等推進へ支持のあり方や具体的な変化が明らかになっています。日本を含む多くの国々で平等に対する意識は依然として高まっていますが、その支持の勢いはやや鈍化しています。
イプソス平等指数の概要
この調査は、様々な社会問題に対する人々の意識を把握するために実施されました。2023年の調査においては、平等推進の必要性を訴えた43%が「もっと取り組むべき」と回答しているものの、これは前年に比べて6ポイントも減少しています。その一方で、「すでにやり過ぎている」と考える人が21%おり、この数値は昨年よりも2ポイント上昇しました。この調査結果は、平等を推進する意義に対する支持が弱まりつつある現実を示しています。
特に、取り組みの必要性について意見が分かれる中、過去2年間のデータには注目が集まっています。
公平性と実力主義の認識
調査では、個人の成功についての考え方にも変化は見られません。自らの実力や努力で成功が決まると考える人は42%であり、一方で外部の要因に左右されると考える人は30%です。このことは、根本的に変わらない価値観が存在し、社会の認識が徐々にではあるものの変化していることを示唆しています。
地域ごとの意識の違い
特にアメリカでは、政治的分断の影響が顕著で、政府に対する信頼感は低下しています。政府が不平等に対処すべきという考えは、アメリカの国民の48%にしか支持されておらず、これは世界平均の65%を大きく下回る数値です。これは、国ごとの価値観の違いを如実に表しています。逆に、民主党支持者は65%が政府にその責任を感じているのに対し、共和党支持者はわずか26%という結果となっています。
Z世代と障がいへの理解の進展
興味深い点は、世代間の違いです。Z世代は、神経多様性や認知的障がいに対する理解度が高まっており、特に「神経多様性がある」と自己認識する割合はベビーブーマー世代の3倍以上に上ります。このことから、社会全体における障がいへの意識が改善していることが伺えます。
ブランドへの期待
また、調査の結果からはブランドに対する社会的責任の要求が強まっていることも明らかになっています。特に障がいのある方々に対し、アクセスしやすいデジタル体験を提供することが重要視されていますが、これは調査対象の31か国全体で88%が支持しています。しかし、残念ながら日本ではその賛同率は54%という結果となり、下位に位置しています。
まとめ
平等に対する意識は依然として高いものの、その支持が若干鈍化している現状を受けて、特に日本の社会は、さらに取り組むべき行動が求められています。今後の社会では、各国の意識の違いや新たな価値観がどのように反映され、発展していくのかを見守る必要があります。
イプソスの平等指数調査は、これらの問題に対して深い考察を促してくれる一つの指針となるでしょう。