Z世代の新しい生存戦略
2023年12月24日、株式会社東洋経済新報社から発売される金沢大学の教授、金間大介氏の新刊『無敵化する若者たち』は、現代の若者がどう恋愛や仕事に対してアプローチしているのか、その心理背景を解明します。この書籍は、Z世代の恋愛観や仕事観が「選択的クリぼっち」や「安定志向」としてどのように形成されているのかを分析し、興味深いデータをもとに解説しています。
カップルで賑わうクリスマスの裏側
クリスマスの街はカップルで賑わいますが、実は内閣府の調査(2022年)によれば20代の独身男性の約4割が「デート経験ゼロ」という現実があります。これに驚く方も多いでしょうが、彼らは孤独を感じているわけではなく、むしろ「選んで」一人でいるという現実があります。本書では、彼らが「恋愛はリスク」と認識し、新しい生存戦略を展開している様子が描かれています。
恋愛は「窒息」のリスク!
若者たちの恋愛離れの背景には経済力の低下が挙げられることが多いですが、本書では「リスク回避志向」が本質的な要因であると指摘します。彼らは「行動によって誤解を招くことを避ける」傾向が強く、異性との交流は様々な意味で「リスクを伴う」と認識しています。特に、彼らが成長する中で目にしたネット炎上やハラスメントのリスクが影響を及ぼし、恋愛は「リスクの塊」となりつつあるのです。
デートの会話や店選びについての不安もメンタルへのリスクを高め、若者たちは「失敗しないために行動しない」という選択をする傾向があります。例えば、「自分が選んだ店がダサいと思われたら、もうその場にいるのが辛い」と感じるようになっています。こうした心理的動機が、若者たちの恋愛に対する距離感を生んでいます。
恋愛以外にも広がるリスク回避志向
このようなリスク回避志向は恋愛だけにはとどまりません。若者たちは、仕事や将来に対しても同様の姿勢を取っています。「失敗したくない」、「リスクは負いたくない」といった心理が反映され、結果として仕事にも無関心になってしまいます。彼らは締切があっても残業をしないことを選び、権利を堂々と主張する文化が根付いています。
このような新しい働き方が職場での「自己肯定感」や「メンタルの強さ」を生み出し、先輩世代との間に摩擦が生じることがあります。若者たちが「無敵化」する背景は何なのか、そしてその原因を本書では豊富なデータを通じて探ります。
安定を求める若者たちの内面
安定を求める一方で、「このままで良いのか」と揺れ動く若者たちの心理が描かれています。彼らが「無敵化」する理由を知ることは、今後の世代との新たな関係を築くための第一歩となると著者は強調します。
本書では、Z世代の特徴や心理を理解するために、さまざまな視点から考察し、それまでの価値観との違いを浮き彫りにする内容となっています。特に、異世代間の理解やコミュニケーションの重要性を再認識させてくれる一冊となるでしょう。
著者について
金間大介氏は、金沢大学の教授として幅広い研究を行いながら、若手人材の育成や価値づくりに取り組んでいます。これまでの著書も合わせて、彼の豊富な経験とデータ分析をもとにした洞察は、今の若者を知る上で欠かせないものとなっています。
この機会に、Z世代の新しい恋愛や働き方を知るための貴重な一冊を手に取ってみてはいかがでしょうか。入手は書店やオンラインストアでも可能です。