日立が推進するエレベーター用モーターのリサイクル
株式会社日立製作所とその関連企業が、エレベーター用永久磁石モーター巻上機のリサイクル網を構築し、12月から運用を開始しました。この取り組みは、日立の新経営計画「Inspire 2027」におけるサステナビリティ戦略「PLEDGES」の一環として掲げられています。サーキュラーエコノミーの実現を目指し、レアアースを含む資源循環の促進と環境負荷の低減を図ることが主な目的です。
背景と現状
日立製エレベーターは1999年以降に製造された機械室レスエレベーターに永久磁石モーターを導入しており、今後リニューアルのタイミングを迎えます。永久磁石モーターはエレベーターの他にも、電動車や発電機など多岐にわたって使用されており、そのリサイクルが求められています。特に大型の産業機械に使用されているモーターのリサイクルはまだ十分に進んでいないため、リサイクル網の構築は重要な一歩といえます。
リサイクルプロセスの詳細
新たなリサイクル網では、日立ビルシステムがエレベーターのリニューアルで回収したモーターから、使用済みの永久磁石モーターを取り外します。続いて、日立と日和サービスが共同でこのモーターを分解し、減磁処理を施して磁石を取り出します。取り出された磁石は外部の専門メーカーで再資源化され、再生磁石として使用される計画です。
また、モーターから取り外した銅線や鉄部材なども分離され、同様に再資源化されます。これらのプロセスによって、年間で約80トンのリサイクルが見込まれていますが、リニューアルの増加に伴い、対象は年間で650トンに達する可能性があります。
環境への配慮と取り組みの意義
日立は、リサイクルに際して環境への配慮を重要視し、製品納入時の戻り便を活用して輸送効率を高めています。これにより、輸送専用のトラックを増便することなく、環境負荷の軽減を図っています。さらに、製造現場のノウハウを活用し、短時間で効率的に分解できる体制を整えています。
日立の水・環境事業統括本部と日和サービスは、モーター内部の磁石取り出し技術を開発し、リサイクル技術の革新を推進しています。この取り組みにより、地球環境を守りながら人々に価値を提供し、持続的成長を実現することが期待されています。
未来展望
今後、日立グループ内での産業用モーター利用の拡大を図るとともに、リサイクル対象の製品を増やすことで、廃棄物削減をさらに進めていく考えです。日立の取り組みは、サステナビリティを促進するだけでなく、社会全体への貢献も目指しています。
このように、日立のエレベーター用永久磁石モーターのリサイクル網構築は、環境保護と経済成長の両立を果たす一歩として注目されています。