廃プラスチックを工事用フェンスに再生利用
建設業界では、環境への配慮が年々高まっています。その中で、株式会社大林組は特筆すべきプロジェクトを開始しました。廃棄されるプラスチックダンボール、いわゆる「プラダン」を工事用フェンスに再生利用する取り組みです。このプロジェクトは、循環型建設システム「サーキュラーコンストラクション」の一環として実施され、3つの企業と共同で行われています。
プロジェクトの背景
建設現場では、プラスチック廃材の多くが未利用となっている現状があります。そこで、大林組は、自社の建設現場で排出されるプラスチックダンボールを再利用できる工事用フェンスに変換するプロセスを開発しました。このプロジェクトの目的は、プラスチック廃材を工事資材に再生することにより、廃棄物の削減と資源の効率的な使用を実現することです。
プラスチック廃材の水平リサイクル
具体的には、大林組の建設現場で発生した廃プラスチックを、まずは協力企業の日成ストマック・トーキョーで収集します。その後、プラダンが選別・圧縮され、株式会社八木熊で原材料として加工されることになります。ここで30%のプラダンを混合し、工事用フェンスが製造されます。完成したフェンスは、日本セイフティーが大林組の現場にリースし、プロジェクトに活用されます。
このフローを通じて、建設現場から新たに排出されるプラスチック廃材を大幅に減らすことが期待されます。また、再生プラスチックを用いた製品の導入による環境負荷の軽減も見込まれています。
環境への貢献
この取り組みにより、大林組はプラスチックフェンスの製造においてバージン材の使用を約30%削減することを目指しています。これにより、原材料の製造過程で排出されるCO2も同じく30%減少が見込まれています。また、水平リサイクルフローの運用を拡大することで、さらなる環境への配慮も実現できるでしょう。
再生品の品質管理
プロジェクトの進行にあたり、大林組は協力会社と連携して廃棄物管理を徹底しています。これにより、廃棄物として発生したプラスチックが再生品として現場に戻るまでのトレーサビリティが確保されます。材料の環境配慮度や安全性の可視化により、再生品の品質も確保され、信頼性の高い資材が提供されます。
さらに、使用後のプラスチックフェンスは回収され、再利用されるため、劣化や破損があっても再度フェンスとしての役割を果たすことが可能です。
今後の展望
今後の展望としては、大林組はこの再生品の技術を全ての建設現場に広げていく考えです。さらに、プラダン以外の素材についても同様のリサイクルプロセスの展開を検討しています。これにより、廃棄物を抑制する動きが加速し、持続可能な建設業界の実現に寄与するでしょう。
株式会社大林組は、廃棄物削減と資源の有効活用を通じて、循環型社会の実現に向けての一歩を踏み出しました。サステナブルな未来を目指す彼らの取り組みは、今後も注目されることでしょう。