自動車教習所向け多言語翻訳サービスの実現
近年、日本では在留外国人の数が増加しており、それに伴って自動車教習所に通う外国人教習生も増えています。政府の計画によれば、2024年度からは特定技能の在留資格を持つ外国人労働者の受け入れが進められるとのこと。これにより、運転免許を取得したいと考える外国人も一層増加すると予想されています。
しかし、自動車教習所における外国人教習生とのコミュニケーションには多くの課題があります。専門用語が多く、安全に関わる内容であるため、言語の壁が危険を招く可能性があります。実際、外国語に堪能な教官は少なく、意思疎通が難しいという現場の声が多く聞かれます。こうした問題を解決するため、トヨタ名古屋教育センターでは在留外国人への対応を強化する新たなサービスの開発に取り組んできました。
TOPPANとトヨタ名古屋教育センターの協業
この度、TOPPANグループとトヨタ名古屋教育センターは、自動車教習所向けの翻訳サービス「VoiceBiz®教習所版」を共同で開発し、全国の自動車教習所に提供する運びとなりました。TOPPANでは、2018年から音声翻訳サービス「VoiceBiz®」を自治体、医療機関などに提供しており、その実績を基に自動車教習所向けサービスを展開します。これは、これまでの経験を活かし、外国人教習生と教官とのコミュニケーションを円滑にするための重要なステップです。
VoiceBiz®教習所版の特長
「VoiceBiz®教習所版」は、自動車教習所業務に必要な専門用語を標準搭載しています。これにより、入校手続きや学科教習、技能教習において必要なフレーズをスムーズに翻訳することが可能です。たとえば、法定速度や教習原簿、効果測定などの固有名詞や定型文が準備されています。
さらに、このサービスは国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が開発した高精度の国産翻訳エンジンを使用しています。海外製の翻訳エンジンとは異なり、日本語をベースにしているため、より自然な翻訳が実現されています。音声翻訳サービスは、日本語だけでなく、英語、中国語(簡体字・繁体字)、ベトナム語、フィリピン語の5言語に対応しています。これにより多様なニーズに応えることができます。
サービス導入の流れ
「VoiceBiz®教習所版」の導入にかかる初期費用は80,000円(税別)で、月額の運用費用は5,000円(税別)となります。今後、TOPPANとトヨタ名古屋教育センターは、このサービスを全国の自動車教習所に広め、2025年度までに60校への導入を目指しています。
目指す未来
本サービスを通じて、全ての教習所利用者にとって利便性の高い学習環境を構築することを目指しています。言語の壁を越え、すべての教習生が平等に学ぶことができる未来を展望しています。自動車運転技術の習得がスムーズに行われれば、外国人教習生が日本の交通社会に適応する手助けにもつながります。
このような革新的なサービスが普及することで、今後ますます多くの外国人教習生が安全に運転免許を取得できることを期待しています。