三菱重工グループの三菱造船株式会社が、環境に優しいメタノール燃料ロールオン・ロールオフ貨物船(RORO船)を3隻追加受注しました。このプロジェクトは、同社がこれまでに培ってきた代替燃料技術を駆使したもので、船舶の持続可能性を高める新たな一歩です。
新たに建造されるRORO船は、トヨフジ海運、宮崎産業海運、日徳汽船といった主要な海運企業向けに供給され、2028年度から順次引き渡される予定です。これらの船舶は山口県下関市に位置する三菱重工業下関造船所で建造され、長さ約168.0メートル、幅約30.2メートル、総トン数約1万5,750トンという impressive なスペックを持ち、乗用車約2,300台を載せることが可能です。
特筆すべきは、ドライブ時の抵抗を軽減するために、船首に風防スクリーンと垂直ステムを採用している点です。また、高効率プロペラと抵抗低減型の高性能舵を組み合わせた省エネシステムを搭載しており、燃費の改善が期待されています。その上で、メタノールとA重油という二つの燃料を使える高性能デュアルフューエルエンジンを搭載し、既存の重油船と比べて、輸送単位あたりのCO₂排出量を20%以上削減する見込みです。この技術は、環境負荷の軽減に寄与し、企業の持続可能な運営を支援します。
さらに、三菱造船は、将来的にグリーンメタノールを活用することにより、船舶のライフサイクル全体において更なるCO₂排出量の低減を目指しています。このメタノール燃料RORO船は、国内外での運航が期待されており、2024年にはさらに2隻の建造が予定されています。
この新造船は、従来船に比べて積載台数が大幅に増加するため、航海ごとの輸送能力が向上し、配船スケジュールにも余裕が生まれる見込みです。これにより乗組員の休暇や休息時間が確保されることとなり、働き方改革にも貢献します。三菱造船は、海上輸送のCO₂削減、働き方改革の必要性を考慮しながら、ビジネスパートナーと共に新たな社会課題に対応していく方針です。
三菱造船の公式サイトでは、この新たな取り組みや技術について詳細な情報が掲載されています。持続可能な未来に向けた彼らの努力は、今後の海運業界に新しい風を吹き込むことでしょう。
このように、環境への配慮を優先した新型RORO船の開発は、三菱造船にとって重要な戦略の一環であり、持続可能な社会の実現へ向けた一歩となることを期待します。