エスペックが新しいパワーサイクル試験装置を発売
エスペック株式会社は、この度「過渡熱抵抗測定機能付パワーサイクル試験装置」を発表しました。この装置は、パワーデバイスの放熱特性評価を効率的に行うことを目的としており、特に先端パワーデバイスの設計・信頼性向上に寄与します。
パワーデバイスの重要性
近年、パワーデバイス(MOSFET・Si-IGBT・Diode)は、エネルギー効率の向上とコスト削減を兼ね備え、グリーンエネルギーや電気自動車(EV)など、さまざまな産業で不可欠な存在となっています。特に、SiC-MOSFET(シリコンカーバイド)などの先端技術を用いたデバイスは、高効率で低損失の電力変換を実現し、エネルギー消費を大幅に削減することが期待されています。
ただし、デバイスの小型化が進むと、同時に単位面積・体積当たりの放熱量が増加します。このため、適切な熱管理が難しくなり、デバイスの性能や信頼性を保つための熱対策が必要不可欠です。
新しい試験装置の機能
エスペックが新たに発売した試験装置には、従来のパワーサイクル試験に「過渡熱抵抗測定機能」が追加されています。この機能により、パワーデバイスの放熱特性をより詳細に評価ができ、設計段階からの熱対策が可能となりました。
開発に際しては、大阪大学と産業技術総合研究所との共同研究が行われ、「ノイズ除去アルゴリズム」が導入されています。この構造は、熱特性の変化をより明確に視認できるようなものとなっているため、高い放熱性能や複雑なモジュール構造を持つデバイスの熱抵抗を正確に測定し、課題を洗い出すことができます。
パワーサイクル試験の詳細
この装置は、パワーデバイスに大電流を流し、発熱させた後、冷却する過程を繰り返すことで温度ストレスを与えます。そして、この過程でデバイスの耐久性や劣化状況を評価します。特に、ワイヤボンディングやチップ間の経路におけるパッケージ構造の耐久性を見極めることが可能です。
新技術の利点
従来技術においては、測定データにノイズが乗ることで、界面熱抵抗の明確な評価が難しいという課題がありました。しかし、新たに導入されたノイズ低減効果により、界面熱抵抗の評価が容易になり、構造関数として可視化することが可能になります。これにより、各部材の傾向を把握しやすくなります。
今後の展望
エスペックは今後も製品やサービスの拡充に努め、先端技術分野における「熱」に関する技術課題を解決するための取り組みを続けていく意向です。これにより、テクノロジーの実用化支援を行い、より効率的な社会作りに貢献することを目指します。
【特許情報】
- - 特許番号:特許第7241349号(P7241349)
- - 発明の名称:過渡熱特性解析装置、解析方法及びプログラム
- - 特許権者:大阪大学, 産業技術総合研究所
この装置の詳細やお問い合わせについては、エスペック株式会社の公式サイトをご覧ください。