NSKの新技術、電動車向け深溝玉軸受の開発
日本精工株式会社(NSK)が新たに開発した電動車向けの小型軽量化深溝玉軸受が注目されています。この新技術は、電動車の駆動ユニットに搭載され、幅狭化や低フリクション化を実現することで、電動車の性能を向上させることが期待されています。
開発の背景
電動車の普及が進む中、最も重要な課題の一つは航続距離の延長です。このためには、駆動ユニットに搭載される部品も軽量化し、高効率化を図る必要があります。特に、深溝玉軸受はこの駆動ユニットの核心を成す部品であり、小型軽量化、幅狭化、低フリクション化、高速化が求められています。
新たに開発された「幅狭組合せ樹脂保持器」を採用することで、従来品に対して外径を約10%短縮し、重量を約51%も削減することに成功しました。これにより、電動車の駆動ユニットがコンパクトになり、効率も向上するでしょう。
開発品の特長
この新しい深溝玉軸受は、技術的にも進化しています。以下がその主な特長です:
- - 小型軽量化:外径が約10%短縮され、重量は約51%低減。
- - 幅狭化:直径が38%短縮され、設計がさらにコンパクトになりました。
- - 低フリクション化:トルクを25%も低減し、効率をさらに向上させています。
- - 高速化:従来品と比べて、MAX回転数が大幅に向上しました。
このように、強度や寿命といった基本的な性能は高水準で維持しつつ、高い効率性を持つ製品に仕上がっています。
技術的な特色
NSKが採用した新技術として、「幅狭組合せ樹脂保持器」があります。従来の保持器は一方向からの組付けが多く、変形しやすかったため、保持器の幅を広くする必要がありました。しかし、新開発の保持器は、両側から1対の保持器を組付けることで変形を抑制し、また幅狭化を実現しました。この技術により、高速回転にも耐えることが可能となり、副産物として軽量化も図られています。
開発品の効果
この深溝玉軸受がもたらす影響は非常に大きいです。電動車の駆動ユニットへの搭載により、次のような利点があります:
- - 軸長が最大で32mm短縮され、重量が4.4kg軽減。
- - 電費が0.14%向上し、それによりバッテリーの購入コストが削減されます。
これらの変化によって、電動車の航続距離も著しく向上することが期待されています。
NSKの取り組み
日本精工は、1916年の創業以来、軸受や自動車部品の革新を続けてきた企業です。現在でも、世界中で高品質の製品を提供し続けており、2030年までに電動車向けの売上目標を年間40億円に設定しています。NSKは、「MOTION & CONTROL™」を通じて、持続可能な社会の実現を目指し、革新を追求する姿勢を貫いています。
電動車の未来を変える可能性を秘めたこの新技術は、今後の市場に大きな影響を与えることでしょう。NSKのさらなる展開に期待が高まります。